MRL-PD-1欠損マウスが発症する自己免疫性心筋炎について、これまでに疾患感受性であるMRL-PD-1欠損マウスと疾患抵抗性であるBALB/c-PD-1欠損マウスを用いて連鎖解析を行い、心筋炎感受性遺伝子座を(Mcp (Myocarditis under PD-1 deficiency))MRL染色体上に5個(Mcp1~5)、BALB/c染色体上に1個(Mcp6)同定している。MRL由来5遺伝子座(Mcp1~5)をBALB/c系統に導入したコンジェニックマウスを作製することにより、心筋炎の遺伝学的な再構築を試みたところ、Mcp1・3・4・6、Mcp2・4・5・6の組み合わせの少なくとも2種類の組み合わせで、疾患抵抗性であるBALB/c系統において心筋炎の再構築に成功している。疾患を再構築したマウスと疾患を発症しないマウスを用いて連鎖解析を行う目的で、心筋炎感受性6遺伝子座のうちの3個を有するコンジェニックマウス、2個を有するコンジェニックマウスを作製し、心筋炎の発症頻度を検討した。その結果、Mcp1・4・6、Mcp2・3・6、Mcp2・5・6でも、時期や頻度に差はあるものの心筋炎を発症すること、さらに、Mcp2・6は心筋炎を低頻度に発症し、Mcp5・6は心筋炎を発症しないことを明らかとした。以上から、Mcp2・4・5・6とMcp5・6、Mcp2・5・6とMcp5・6、Mcp1・4・6とMcp6、Mcp2・3・6とMcp6の比較が、心筋炎の原因遺伝子を効率的に同定できる条件であると考えられた。そこで、各コンジェニックマウス間でF2交雑マウスを作製して連鎖解析を行い、各疾患感受性遺伝子座について責任領域の絞り込みを行なった。
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