研究課題/領域番号 |
18K19455
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
高島 英造 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (50366762)
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研究分担者 |
山田 浩司 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80325092)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | マラリア / コムギ無細胞系 |
研究実績の概要 |
マラリアによる死者は全世界で年間40万人にものぼる。耐性原虫の出現により、新規マラリア薬の開発が急務である。赤血球に感染した熱帯熱マラリア原虫は多重の膜に包まれた特有の寄生環境を作り出す。そのため膜間輸送に関わる膜タンパク質は重要な薬剤標的である。しかし技術障壁のため原虫膜タンパク質の研究は進んでいない。また原虫は独自のタンパク質分子を進化させており、アミノ酸配列から機能を予測することは困難である。そこで本研究はマラリア原虫タンパク質を高い成功率で発現することが可能な、世界で唯一の発現系である「コムギ無細胞系」を用いて、マラリア原虫ゲノム網羅的に膜タンパク質発現をおこなう。続いて新規薬剤標的の同定を目的に、膜変形・小胞形成タンパク質と、物質輸送に関するチャネル・トランスポーターの同定を行う。 本年度は、予定していたビオチン化リポソームの調整に頓挫したため、限定的な標的(マラリア原虫タンパク質)に対してリポソーム共存下でマラリアタンパク質を発現させ、その形状を蛍光顕微鏡を用いて観察した。その結果、リポソーム形状の変化を起こす新規なマラリアタンパク質を同定することができた。リポソーム形状変化を起こすタンパク質は、マラリア原虫独自の膜系の形成に深く関与していることが予測されるため、抗マラリア化学療法剤ターゲットとして有用な可能性が高い。今後はビオチン化リポソームの調整方法の再検討も合わせ、新規膜変形タンパク質の機能解析を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していたビオチン化リポソームの調整に頓挫した。しかし限定的な標的(マラリア原虫タンパク質)に対してリポソーム共存下でマラリアタンパク質を発現させ、その形状を蛍光顕微鏡を用いて観察した。その結果、リポソーム形状の変化を起こす新規なマラリアタンパク質を同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
分担研究者と共に膜変形を指標に機能未知タンパク質の機能解明を進めていくとともに、ビオチン化リポソームの調整方法に改良を加え、安定的に作成できる系の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
リポソーム作成系の確立を行ったあとに、リポソーム共存無細胞系によるゲノムワイドなタンパク質合成を行う計画である。現状、ビオチン化リポソームの調整に手間取っており、限られた数のタンパク質合成しか行っていないため、次年度使用額が生じた。今後の使用計画としては、今年度中にゲノムワイドタンパク質合成を行う予定である。
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