研究課題
昨年度作成したスプライスペプチドデータベースを改良し、遺伝子変異をもたないスプライスペプチドも同定可能なデータベースを開発した。その結果、大腸がん細胞株のマススペクトル解析によって得られたHLA class Iリガンドームペプチドの中から、新たな3種類の非変異型スプライス抗原ペプチドを同定することに成功した。このうち1種類のスプライス抗原ペプチドについては、合成ペプチドを用いて末梢血リンパ球を刺激し、ペプチド特異的細胞障害性T細胞(CTL)クローンを得ることに成功した。さらに、このCTLクローンが大腸がん細胞に対してHLA拘束性に特異的に反応することを証明した。また、スプライス抗原ペプチド産生の分子機序を解明するために、プロテアゾーム依存性ペプチドと非依存性ペプチドを設計し、CTLクローンの反応性を解析している。今後は、野生型非スプライスペプチドとの比較も重点的に解析する計画である。また、大腸がん細胞株だけでなく、大腸がんの新鮮手術標本を用いて、同様のスプライス抗原ペプチドが検出されるかどうかを検証する計画である。大腸がん以外の他のがん種でも検出されるかどうかについても、解析を実施する計画である。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、遺伝子変異をもたないスプライスペプチドも同定可能なデータベースを開発し、大腸がん細胞株のマススペクトル解析によって得られたHLA class Iリガンドームペプチドの中から、新たな3種類の非変異型スプライス抗原ペプチドを同定することに成功した。また、健常人の末梢血からペプチド特異的細胞障害性T細胞(CTL)クローンを得ることに成功し、このCTLクローンが大腸がん細胞に対してHLA拘束性に特異的に反応することを証明した。
今後は、スプライス抗原ペプチド産生の分子機序の解明を重点的に実施する。そのために、プロテアゾーム依存性ペプチドと非依存性ペプチドを設計し、CTLクローンの反応性を解析する。また、野生型非スプライスペプチドとの比較も解析する計画である。さらに、大腸がん細胞株だけでなく、大腸がんの新鮮手術標本を用いて同様のスプライス抗原ペプチドが検出されるかどうか、大腸がん以外の他のがん種でも検出されるかどうか、正常組織での発現はどうかについても、解析を実施する計画である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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