研究課題/領域番号 |
18K19463
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 未来子 東北大学, 医学系研究科, 講師 (80508309)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 原がん遺伝子 / 白血病 / EVI1 |
研究実績の概要 |
3番染色体長腕21(3q21)と長腕26(3q26)との間の転座または逆位では、3q21側に存在するGATA2遺伝子エンハンサーが3q26側に存在する原がん遺伝子EVI1の発現を活性化させることが知られている。この原がん遺伝子EVI1の発現が予後不良の白血病を発症させる原因となっている。本研究では、EVI1遺伝子が本来の発現部位である造血幹細胞ではなく、GATA2遺伝子の発現部位である造血前駆細胞に発現することが白血病を惹起するのではないかと考え、これを検証する。30年度は、3番染色体逆位アリルの制御(GATA2遺伝子エンハンサーによる制御)下にあるEVI1遺伝子の発現をtdTomato蛍光でモニターするレポーターマウスを用いて、EVI1遺伝子発現細胞の詳細な解析を行った。tdTomato蛍光は造血幹細胞画分において最も高く観察されたが、多能性造血前駆細胞画分においても造血幹細胞画分の55-70%程度に維持されていた。さらに、EVI1遺伝子が高発現する条件下では、造血幹細胞画分でのtdTomato蛍光が低下し、多能性造血前駆細胞画分におけるtdTomato蛍光が増加することにより、多能性造血前駆細胞画分でのtdTomato蛍光が造血幹細胞画分と同程度または上回る状態となっていた。このことからEVI1の発現が、3番染色体逆位アリルによるEVI1遺伝子の発現に影響していることが示された。EVI1遺伝子は転写因子をコードしており、自身の発現を制御していることが考えられた。また、30年度は3番染色体逆位アリルによるEVI1遺伝子マウスの構築を改変することによる条件付き発現マウスの樹立に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
30年度は、3番染色体逆位アリル(GATA2遺伝子エンハンサー)によって制御されるEVI1遺伝子の発現を、フローサイトメトリーを用いて1細胞レベルで詳細にモニターすることができた。一方でEVI1の条件付き発現マウスの作製が完了していないので、31年度に引き続き行う。
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今後の研究の推進方策 |
31年度は、30年度に引き続きEVI1の条件付き発現マウスの作製を行い、完成し次第、解析を進めていく。また、造血幹細胞画分及び多能性造血前駆細胞画分におけるEVI1とGATA2のクロマチン免疫沈降の条件検討をしたのち、解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
30年度にEVI1条件付き発現マウスの作製が完了していないので、引き続きマウスの作製を行う。
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