研究課題/領域番号 |
18K19464
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂田 麻実子 (柳元麻実子) 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80451805)
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研究分担者 |
野口 雅之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00198582)
小島 崇宏 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40626892)
日下部 学 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40804381)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | メラノーマ / TET2 / クローン造血 |
研究実績の概要 |
固形がん組織には、さまざまな免疫細胞が浸潤することが知られ、免疫細胞は血管やその他の支持組織とともにがん微小環境を形成し、がん細胞の増殖や生存を促進すると考えられている。固形がん組織に浸潤する免疫細胞の大部分は造血幹細胞に由来し、骨髄内で一定程度分化した後にがん組織へと遊走し、がん組織特有の低酸素などのストレス環境や、がん細胞が分泌する炎症性メデイエーターなどの影響を受けながら、最終分化および機能成熟すると考えられている。一方、健常人の造血システムは加齢に伴って体細胞変異を獲得した“クローン造血”となることが報告された。“クローン造血”においては、造血幹細胞/前駆細胞が体細胞変異を獲得し、さまざまな血液細胞/免疫細胞に分化する能力を維持していると考えられている。固形がん患者ではクローン造血の頻度が高く、固形がん組織には体細胞変異を獲得した免疫細胞 が浸潤していることが予想されるが、変異のある免疫細胞ががんの発症に与える影響は明らかにされていない。本研究では、固形がんにおけるクローン造血のモデルとして、造血システム特異的にTet2遺伝子を欠損するマウス(Tet2欠損マウス)を用いて、免疫系の影響を受けるメラノーマ細胞を移植する系を用いて研究を行った。メラノーマ細胞は、Tet2欠損マウスでは増殖が抑制される。炎症細胞の変化について調べたところ、腫瘍組織、末梢血および骨髄中ではTet2欠損マウスと野生型マウスに違いはなかった。しかし、脾臓においては、Tet2欠損マウスでは、骨髄由来抑制細胞(CD11b+Gr1+)と腫瘍関連マクロファージ(CD11b+F4/80+)の細胞表面形質をもつ分画が減少していた。これらの細胞分画はがん細胞を支持することが知られることから、Tet2欠損マウスでは、これらの分画の減少によって直接的、あるいは間接的にメラノーマの増殖が抑制されると考えられた。
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