研究課題
挑戦的研究(萌芽)
広汎性発達障害に神経芽腫を併発した4歳男児、自閉症スペクトラムにEwing肉腫を併発した12歳男子の正常検体と腫瘍細胞を用いて、エクソーム解析を行い、腫瘍と発達障害のクロストークの解明を試みた。また候補遺伝子に関しては、公開データを用いで、腫瘍と発達障害の病態の関連性を検討した。神経芽腫では、家族性のミオクローヌス癲癇の原因遺伝子と考えられるCSMD2が、Ewing肉腫では、神経発達に関連するCNTN6が神経発達と腫瘍の双方に関連する遺伝子として抽出された。
小児がん
近年、発達障害の動物モデルが相次いで開発され、行動薬理学の研究は進められているものの、ヒトの発達障害の発症分子機構に基づいた本質的な薬物治療の開発に関する研究は、未だ発展途上であり、経験的な対症療法のみが行われているのが現状である。本研究成果によって、神経芽腫におけるCSMD2とEwing肉腫におけるCNTN6が、腫瘍の発生と神経発生の共通するパスウエイ遺伝子として同定されたが、これらを標的とした治療の開発は、腫瘍のみならず発達障害に対する根本的な治療の開発につながることが期待される。