研究課題/領域番号 |
18K19479
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中尾 光善 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00217663)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 乳がん / エストロゲン / エストロゲン受容体 / RNA / 細胞死 / エピゲノム |
研究実績の概要 |
女性の部位別の第1位である乳がんでは、その約70%がエストロゲン受容体(ER)陽性で、エストロゲンに依存して増殖する。このため、エストロゲンを阻害するホルモン療法が有効であるが、その後に治療抵抗性を獲得して再発することが課題である。要因として、ERをコードするESR1遺伝子が高発現するが、その機序は不明である。本研究では、乳がんのホルモン療法耐性におけるエピジェネティックな分子病態に基づいて、長鎖非コードRNA群(エレノア)を指標とするエストロゲン誘導細胞死の応用基盤を新たに確立することを目的とした。 具体的には、ER陽性乳がん細胞株(MCF7など)をエストロゲン枯渇下で4ヶ月以上培養して増殖能を獲得したモデル系(LTED)を用いた。LTED細胞における遺伝子発現とエピゲノム解析、エレノアRNA阻害がLTED細胞に及ぼす効果とその機序、エレノアRNAを用いた治療抵抗性・再発乳がんの診断・治療開発、エストロゲンまたはエストロゲン様化合物がLTED細胞に及ぼす効果とその機序について解析を実施した。とくに、エストロゲン、レスベラトロールに次いで、グリセオリンIがエストロゲン誘導細胞死を引き起こすことを報告した。また、エストロゲン誘導細胞死の臨床応用を目指してcancer navigation strategyを新たに提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ホルモン療法抵抗性乳がんのモデル細胞を用いて、エストロゲン誘導細胞死について新知見を得ている。とくに、エストロゲン、レスベラトロールに次いで、グリセオリンIがエストロゲン誘導細胞死を引き起こすこと、この臨床応用を目指してcancer navigation strategyを提案するなど、最先端の研究成果が出ているため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、当初の計画以上に進展してきたため、今後も引き続き研究を推進する。
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