本研究は、次世代イメージング「ライトシート顕微鏡・膨張顕微鏡法」が立体視する腫瘍内不均一性から腎がん分子標的治療(特に免疫治療:抗PD-1/PDL1療法)の感受性予測モデル提唱を目的とする。腫瘍内不均一性のプロファイル解明は、癌根絶のみならずバイオマーカー研究においても喫緊な課題である。2020年度は、この技術基盤として代表者が考案・開発した新規3次元イメージングパイプライン:DIIFCO(diagnosing in situ hybridized and immunolabeled fresh or fixed cleared organs)法を、実際の臨床組織で実装に移した。さらに膨張顕微鏡法も、光学顕微鏡の回折限界を乗り越える最新の研究手法である。2020年度は、先に作成した腎癌組織マイクロアレイを利用して、組織膨張下にDIIFCO法でin situ hybridizationを行うプロトコール開発を進めた。In situ hybridization法は、RNAが可視化される。DIIFCO法で採用されるin situ hybridizationは、hybridization chain reaction法を採用しており、簡便なプローブ作成はハイスループットなRNAイメージングを可能にする。膨張顕微鏡法とDIIFCO法を組み合わせることで、ナノレゾリューションでRNA局在がわかるようになり、特にin situ hybridization法に優位性のあるlncRNA解析は、本研究で初めて整備されたと考える。不均一なlncRNA発現も、細胞内局在が明らかになり、細胞内で核外/核内/核小体内で定量的なカウントが可能となった。新規癌イメージングとして、臨床応用を視野に入れた将来の活用が期待される成果となった
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