研究課題/領域番号 |
18K19492
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 洋 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70453115)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 光遺伝学 / 脳 / 動物モデル / 意欲 / 判断 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、計画3年目の1年目として、ウィルスを注入する脳部位の神経細胞活動の記録を終了した。また、光操作を行うのに必要な機材の追加検討を行った。以下にその内容を記す。 本研究では、霊長類に光遺伝学を適用する方法を確立し、汎用性の高い実験を確立することを目的としている。具体的には、光遺伝学の技術をマカクザルの前頭葉に適用することで、価値判断を生み出す前頭葉の神経回路の活動を光刺激で操作する。特に、前頭葉-線条体の神経投射を選択的に操作することで、前頭葉の活動が線状体の価値判断に関わる活動を引き起こす仕組みを明らかとする。この目的を達成するために、光操作を行う当該脳領域の神経細胞活動を、マカクザルの脳から記録した。 光遺伝学の技術を用いると、脳の活動を極めて短い時間で操作できるため、記憶や判断などのごく短い間に生じる脳の活動を操作することが可能となる。しかし、実験動物の中で最もヒトに近い脳を備えたマカクザルでは、光遺伝学の適用例が極めて限られている。神経細胞に光受容体遺伝子を導入・発現させることで、脳活動を光刺激で操作することを可能とするが、技術の進歩が速くどの段階の技術を用いいるのか判断が必要であった。そのため、本年度はその検討を行った。計画2年目の平成31年度に実験を行う予定である。 現在、2頭の動物から取得した実験データの解析を進めている。核磁気共鳴装置を用いて脳活動を記録するための脳部位の同定を行い、記録した細胞の大まかな位置も同定した。現在、その解析結果をもとに、ウィルスを注入し実験を開始するための準備を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、本研究計画の開始1年目として、光遺伝学を適用するための準備と検討を行った。来年度の初めに、本検討に基づいて機器を購入し、実験を進めることで予定通りに実験の進展が得られると期待される。以下にその詳細を述べる。 平成30年度は、研究計画の進展を評価する上で非常に重要な年であった。計画の初年度として、萌芽的な研究の方向を決定するための準備を終了できた。この検討を十分に行えたことで、これから実験設備のセットアップを終了し、実験計画が本当に妥当なのか検証するための初期データを取得することができる。H31年度の前半に実験を開始する予定で準備を進めており、今後、実験成果に繋がる実験データが得られることが期待される。 従って、計画の2年目にあたる来年度に、計画の達成に必要なデータについての検討を行うことが可能となる。こられの理由から、本計画はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
計画1年目の本年度は、予定通り実験の準備を進めることができた。この状況を継続し、研究の初期データを確実に取得する。同時に、光操作を行う当該脳領域から記録した神経細胞活動をデータ解析を推し進め、新たな研究成果を生み出す挑戦を続ける。計画がうまく前進している現状を踏まえ、更に本研究を発展させる。そのために、次の2点を来年度の目標とする。 1.本年度の準備と検討に応じて、初期に実験のセットアップを終了し、実験を開始する。2.初期データの検討を行い、実験内容をブラッシュアップする。 来年度は計画3年の2年目にあたるため、成果に直結する実験結果を取得する。ウィルスの注入と光操作を実施し、本実験を軌道に乗せる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、慎重に実験条件の検討を行ったため、機器の購入を来年度に伸ばした。来年度に、次年度使用額を用いて、選定した機器を購入し、実験を進める予定である。
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