研究課題/領域番号 |
18K19497
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
雨森 賢一 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (70344471)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 霊長類 / 意思決定 / 不安障害 / 社会ランク / 社会不安障害 |
研究実績の概要 |
社会的なストレス、例えば、学校や会社でのいじめや理不尽な扱いで心身を病んでしまうヒトは多い。こうした、うつ状態や不安障害の動物モデルとして、社会的敗北ストレスモデルがある。しかしながら、多くの齧歯類を用いた研究では、社会ランクを、物理的な攻撃などによって人為的に設定するものが多いため、攻撃を伴わず社会ランクを形成する霊長類で、同じ神経メカニズムをもとに社会ランク形成が行われるかはわかっていない。本研究はマカクザル2頭を対象にして、優位ザルに対する劣位ザルの恐れを制御できる神経回路の同定を目指す。ここでは、劣位ザルが優位ザルに対して向ける視線に着目した。側坐核-腹側被蓋野の経路選択的な操作によって、劣位ザルが有意ザルに向ける視線が増えることを定量化し、社会ランクの変化を示すという研究目標を立てた。 当該年度には、これまで蓄えてきた実験データを詳しく解析することにより、霊長類の線条体が、悲観的な価値判断を伴う繰り返し意思決定に因果的に関わることを明らかにした。我々は,マカクザルに微小な刺激をあたえることにより,こうした症状に似た状態を生成する領野の同定を行い、成果は国際学術誌(Neuron)にて発表した。 更に、当該年度は、NAc-DA 回路の局所回路操作を目指して、実験系の組み立てを行った。また、現在、化学遺伝学を用いた NAc-DA 経路の選択的操作による価値判断のコントロールの研究を、準備している。これを進めることで、DA 応答の人為的な制御が期待できる。今後は、DA 応答の人為的な制御が期待できる。DA 応答を注視開始に伴って活性化させることによって、顔画像を注視する頻度が上昇するかどうかを調べる。最終的には、サル2頭の中間にエサを配置し、劣位ザルがエサを取るようにかを調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で使用する、NAc-DA経路の選択的操作に関する準備が一年目ではあるが、整いつつある。1頭目のチャンバー付け、行動課題のトレーニング、神経活動記録によるNAc神経活動のマッピング、などを行った。
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今後の研究の推進方策 |
1頭目を当初の予定通り、化学遺伝学的な手法で、経路の選択的活性化を行う予定である。DA 応答の人為的な制御が期待できる。DA 応答を注視開始に伴って活性化させることによって、顔画像を注視する頻度が上昇するかどうかを調べる。最終的には、サル2頭の中間にエサを配置し、劣位ザルがエサを取るようにかを調べる。予定通り終わらせるためには、2頭目のトレーニング、手術、記録の準備を始めなければならない。2頭目の準備も開始する。
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