研究課題
Costello症候群患者は受精卵からHRASの活性化変異を有し、骨格異常、肥大型心筋症、精神遅滞、易発がん性を示す。Costello症候群患者は重度な成長障害や低血糖をきたし、なんらかの代謝・内分泌的障害をもつと考えられてきたが、そのメカニズムは明らかではない。本研究では、当科で作成した、HRAS G12S変異を有するコステロ症候群モデルマウスを作製し、その代謝システムの変化について解析を行ってきた。今年度はこれまでのマウスの解析で得られたデータのまとめを行うと共に、HRASモデルマウスの皮膚刺激を行い、腫瘍発生や、皮膚病変発生の有無を解析した。様々な化学物質投与のうち、ダニアレルゲンを皮膚に投与すると野生型に比べコステロ症候群モデルマウスで著明なアトピー性皮膚炎用所見を呈した。これらの結果よりHRAS H12S変異を持つ個体がある特定の刺激により、RAS/MAPKシグナル伝達経路を活性化し、細胞増殖、あるいは炎症反応が亢進することが明らかになった。さらにこれまでにHRAS変異陽性のコステロ症候群患者における低血糖や腫瘍合併などの症状を検討した。一般にコステロ症候群で同定されるHRASバリアントはコドン12,13のアミノ酸変化を伴うミスセンス変異であるが、最近HRASのG3ドメイン、あるいはSwitchII領域に9塩基、あるいは21塩基の重複配列が挿入されたバリアントが3人の患者に同定された。最近報告された同様の挿入バリアントを持つCostello症候群では症状が軽度で非典型とされていたが、日本の3症例では典型的なCostello症候群であった。
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Cell Death Dis.
巻: 11 ページ: 617-632
10.1038/s41419-020-02845-8
http://www.medgen.med.tohoku.ac.jp/