ダウン症候群由来ヒトiPS細胞にコルセミド用いて小核誘導を行い、小核内及び核内タンパク質を比較することにより、小核移行を誘導するタンパク質を特定できると考える。同定されたタンパク質を過剰染色体(21番染色体1本)にdCAS等で付加することでトリソミックレスキューを誘導することが最終目標となる。 我々はダウン症候群由来iPS細胞の21番染色体における特異的な塩基情報を取得済みであり、タンパク質が同定出来れば実現可能な手法をとっている。 これまでに、過剰染色体の1本ずつを消去した3種類のdisomy細胞を取得しており、この細胞を用いて染色体1本に特異的なSNPを複数カ所確認している。このSNPをCRISPER-Cas9で切断し、トリソミックレスキューが誘発されるか確認したが、最大7%と低頻度であった。この改善策として現在、染色体全域にわたるSNPを全ゲノム解析データより追加抽出している。 コルセミド等を用いてヒトiPS細胞の小核形成を誘導する方法は確立しているが、得られる小核の数が少ないため、分離・解析が困難となっている。 また、トリソミックレスキュ―が実際に確認された場合の評価系として、過剰染色体1本にmEmeraldを遺伝子導入した3種類の細胞を作製した。この細胞を用いれば、生きたままの細胞を顕微鏡で蛍光を確認するだけでトリソミックレスキューが減少として確認できるようになる。更に21番染色体3本をそれぞれ異なる色素を遺伝子導入した細胞も作製中である。
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