研究課題
平成30年度は、CELR-Xと複合体を形成する因子の同定と検討を行った。CELR-X KOおよび全身強制発現CELR-X Tgマウスの心臓組織を用いたプロテオーム解析を行い、変動を認める複数の遺伝子を同定した。その複数の遺伝子の中でもY遺伝子はCELR-X KO、CAG-CELR-X TgにおいてmRNAの発現の変化は認めなかったが、CELR-X KOではY遺伝子のタンパク発現の明らかな上昇を認め、逆にCAG-CELR-X Tgではタンパクの明らかな発現低下を認めた。CELR-Xは遺伝子Yを転写ベレルではなく翻訳レベルで制御している可能性が示唆された。Y遺伝子の生体での機能を解析するためにY遺伝子欠損マウス、心筋特異的Y遺伝子欠損マウス(conditional CKO; aMHC-Cre)、心筋特異的X遺伝子強制発現マウス(aMHC-X Tg)を作製した。X KO、conditional CKO; aMHC-Creの樹立は行ったが、aMHC-X Tg はfunder は作製できたが、ラインは樹立できなかった。また、ミトコンドリアエネルギー代謝の活性化機能部位を探索するためにCELR-Xの全長を5分割行い、全長を強制発現させたマウス(CAG-CELR-X Tg)と同様にCELR-Xと同じ染色体locusにCAGプロモーターでそれぞれ挿入したマウスを樹立し、TACモデルを作製した。すべてのラインにおいてCAG-CELR-X Tgで認める心不全抑制作用を認めなかった。このことよりCELR-Xは明らかな機能ドメインはなく、全長RNAの立体構造が作用機能に及ぼしていると考えられる。マウスCSLR-X のヒトのホモログの同定に関しては進化的観点より解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
CELR-Xの分子機構解明については予定通りに進んでいる。
令和元年度については、当初の計画通りである。主な研究としては、CELR-XによるY遺伝子の発現制御についてCELR-XとY遺伝子の相互作用についてさらに検討を行う。最近、CELR-Xのバリアントフォームが報告されており、そのTgマウスを作製する。また、マウスCELR-X のヒトのホモログの同定を行う。
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