研究課題/領域番号 |
18K19522
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
松原 悦朗 大分大学, 医学部, 教授 (70219468)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | アミリン |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病の発症病態解明に基づいた根本的疾患修飾薬開発の実績(欧州/日本で第I相臨床試験実施中)を発展的に展開し、2型糖尿病が異常な立体構造をとり細胞内外に蓄積するオリゴマー化したIAPP(アミリン)蛋白が細胞変性の原因となる「コンフォメーション病」であるとの疾患概念の整合性を検証する。
本研究では、このオリゴマー選択的な解析ツールがないため、あくまで推測の域に留まっていたアミリンオリゴマーカスケード仮説(アミリンオリゴマーが起点となり、膵β細胞変性・細胞死を誘導し、2型糖尿病やその合併症である認知症や心筋症の病態発症に至る)とアミリンによるプリオノイド蛋白質の凝集・伝搬による発症病態(異常構造蛋白質がプリオンのように細胞間を伝搬し周囲へと病変を拡大させるという細胞非自律的な病態機序)を培養実験とモデル動物実験を中心に検証し、「コンフォメーション病」の普遍的な創薬実現する。
本年度はアミリンオリゴマー(アミリンの1-18部分のペプチドとアミリンの8-37部分のペプチドを使用して)の毒性評価系構築を行ったが、通常細胞死の評価に汎用されるLDHアッセイでは、培養膵島膵ベータ細胞にアミリン重合体を添加した際に、細胞膜へのポア形成によるLDHの細胞外流出としての細胞死を評価することができなかった。膵島細胞ではアミリン受容体同定解析を予定しておりこの毒性評価は重要であるため、現在様々なアプローチで原因を究明中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
我々に実験系で使用するヒト神経芽細胞腫やマウス初代培養神経細胞などでは、Aβオリゴマーを添加しての細胞死評価系としてLDHアッセイが汎用され、我々も使用してきたが、培養膵島膵ベータ細胞ではうまく機能しない問題に直面している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの経験から、細胞死評価としてトリパンブルー染色が有用であることは見出しており、LDHアッセイ系の構築が不可能なときは細胞死評価はトリパンブルー染色で代用し、ラットインスリン細胞株やマウス脂肪細胞株での糖代謝ループ傷害性アミリンオリゴマーの同定と、その受容体解析を施行する。また既に作製済みであるsortilinに対するsiRNAでアミリン受容体の機能解析を施行する。
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