研究課題
先行研究において新規の巨脳症患者にMYCN遺伝子のde novoミスセンス変異(c.173C>T; p.Thr58Met)を同定した。この変異はT58リン酸化が消失することで蛋白分解が障害され、機能を有する変異蛋白の安定性が更新することによる機能亢進型変異であることを解明した。また、変異型MYCNを子宮内胎仔脳遺伝子導入法によりマウス脳に導入したところ、神経細胞の増殖を促進し、神経細胞の遊走を阻害することが示された。そこで、機能亢進型変異の発生脳における役割を明らかにするために、患者に同定された変異を導入するノックイン(KI)マウスの作成をCRISPR/Cas9法により行った。変異導入のためのガイドRNAおよび組み替え用オリゴDNAを受精卵に導入し、患者変異を有するKIマウスおよび2塩基欠失(p.Pro60Valfs*49)と9塩基欠失(p.del58_61TPP)マウスを得た。現在系統維持のための交配を行っているが、出生率の低さや食殺などのために安定的な系統維持が得られておらず、人工授精を試みている。マウスの系統維持と並行してE14にて変異マウスの脳から神経幹細胞を取り出し、neurosphereの作成を行った。2塩基欠失(p.Pro60Valfs*49)からのneurosphereの作成に成功し手技を確認することができた。引き続き、9塩基欠失(p.del58_61TPP)マウスおよびKIマウスからのneurosphere作成を予定している。KIマウスは患者のモデルとしての役割が期待できる。2塩基欠失(p.Pro60Valfs*49)マウスはMYCNの機能喪失モデルとして、また、9塩基欠失(p.del58_61TPP)マウスはT58を含んだ欠失のため新規の機能亢進型モデルとしての役割が期待される。モデルマウスと並行してneurosphereを作成することによりMYCNの機能変化により影響を受けるパスウェイの解明が可能になると考えている。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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