研究課題/領域番号 |
18K19527
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
向 高弘 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30284706)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 放射性医薬品 / イメージング / ガリウム / 薬学 |
研究実績の概要 |
疾患の画像診断において、核医学診断は術前の全身スクリーニングを可能とする一方で、蛍光イメージングは術中のリアルタイム診断を可能とする。核医学診断と蛍光イメージングを同時に達成しうる薬剤骨格を開発できれば、疾患の術前診断と術中診断をシームレスに行うことが出来るため、高精度の外科的治療へと繋ぐことが可能となる。そこで本研究では、放射性同位元素であるガリウム-67/68と配位子であるDOTAの錯体が6座配位であることに着目し、DOTAの一つのカルボキシ基に蛍光色素であるFITCを導入し、さらに、DOTA骨格の向かい合うもう一つのカルボキシ基に生体分子認識部位を導入した薬剤(トリファンクショナルキレート)の開発を目指した。本研究では、生体機能分子としてがんに高発現する葉酸受容体を選択した。蛍光ユニットとしては、FITCとヘキサメチレンジアミン誘導体を反応させて合成し、DOTA di(tBu)esterに導入した。また、得られた化合物の蛍光シグナル特性について評価した。葉酸受容体認識部位には、結合親和性の保持を目的として、葉酸のγ位のカルボキシ基へ選択的にDOTAを導入することを目指し、Fmoc-OMe-Gluを出発原料に、6段階の反応を経て、葉酸の2位と10位のアミノ基およびα位のカルボキシ基を保護した葉酸誘導体を合成した。最後に、葉酸受容体認識部位をDOTA-FITC骨格へ導入した後、脱保護反応を行った。DOTA-FITC骨格は、収率20%で得た。蛍光波長は524 nmであり、DOTA骨格に導入することで、FITCの蛍光シグナル特性に大きな影響を与えないことを示した。葉酸のα位のカルボキシ基を保護したことにより、葉酸のγ位のカルボキシ基に選択的にDOTA-FITCを導入することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、核医学診断と蛍光イメージングをシームレスに実施するために、ガリウム-67/68と配位子であるDOTAの錯体が6座配位であることに着目し、DOTAの一つのカルボキシ基に蛍光色素であるFITCを導入し、さらに、DOTA骨格の向かい合うもう一つのカルボキシ基に生体分子認識部位(葉酸誘導体)を導入した薬剤、すなわちトリファンクショナルキレートを新たに設計・合成することに成功した。葉酸誘導体は、受容体への結合性親和性を損なわないよう、葉酸のγ位のカルボキシ基に選択的にDOTA-FITCを導入することに成功した。 また、次年度実施予定の動物実験のために、卵巣がんの腹膜播種モデルマウスの作製方法を構築した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度合成に成功した標識前駆体を用いて、放射性ガリウム標識体を合成する。また、その標識体を卵巣がん腹膜播種モデルマウスに投与し、葉酸受容体イメージングの可能性について核医学イメージングおよび蛍光イメージング法により評価する。さらに、集積部位に存在する放射能および蛍光シグナルの局在と標的分子(葉酸受容体)の分布と比較検討し、分子設計の妥当性を明らかとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 葉酸受容体認識部位には、結合親和性の保持を目的として、葉酸のγ位のカルボキシ基へ選択的にDOTAを導入することとし、その合成を中心に行った。目的通りの化合物を得ることに成功したが、合成に時間を要したことから、放射性ガリウム標識実験等を実施できていない。これらの検討に要する予算として、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 放射性ガリウムを用いた標識実験を実施する。また、標識体について、卵巣がん細胞を用いた細胞実験および腹膜播種モデルマウスを用いた動物実験を実施する。
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