研究課題
カンジダ属真菌はアスペルギルス属と共に、二大深在性真菌感染症の原因である。厚生労働省院内感染症サーベイランス事業(JANIS)の報告でも、カンジダ属真菌が菌血症(真菌血症)の主な原因となることが示されており、カンジダ属の中でCandida albicansが最も頻度が高い。また、カンジダ血症・播種性カンジダ症は致死率が高いことから、C. albicansを中心としたカンジダ属による感染症および炎症の病態の解明は重要である。本研究では、カンジダ血症・播種性カンジダ症を中心としたカンジダ感染症の病態解明および新規治療法の開発をめざし、マウスモデルを用いて、C. albicans感染症の発症機構と病態の解析を行った。昨年度に引き続き、腸管におけるC. albicansの定着および播種機構の解析を行った。抗菌薬やステロイド剤の投与法、炎症誘導法などの再検討を行うとともに、抗体による好中球除去の効果の検討を行った。腸内細菌の減少、ステロイドによる免疫低下や好中球減少などの臨床症例の病態を反映する、より良いカンジダ播種モデルの構築に繋がる有用な知見が得られた。また、カンジダ感染症は主に免疫低下症例に真菌血症や播種性真菌感染症をおこすが、カンジダ膣炎は多くの健常女性に問題をおこす。カンジダ膣炎の病態解明および治療法の開発を目指し、マウスモデルを構築して解析を行った。C. albicansを膣内投与したマウスにおいて、リンパ球のナチュラルキラーT(NKT)細胞を活性化する糖脂質の投与効果について対照群と比較した。その結果、糖脂質投与群では膣内の炎症細胞浸潤の増加およびカンジダ数の減少を認めた。糖脂質投与によるNKT細胞の活性化は、C. albicans膣炎の改善をもたらすことが示唆された(原著論文投稿済み)。
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