研究課題/領域番号 |
18K19530
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂本 直哉 北海道大学, 医学研究院, 教授 (10334418)
|
研究分担者 |
須田 剛生 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (20447460)
古川 潤一 北海道大学, 医学研究院, 特任准教授 (30374193)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
キーワード | 肝線維化 |
研究実績の概要 |
本研究で申請者らは、肝硬変は従来不可逆性の病態と考えられていた肝線維化を標的とした新規薬物療法標的を探索するため、肝硬変症例の肝組織および血清、さらに培養肝星細胞の表面蛋白の複合糖鎖の解析、同定された特異修飾糖鎖の糖鎖構造に対する抗体、結合小分子の大規模探索、作用寄稿解析を目的として遂行し、以下の結果を得た。 1.肝線維化、肝発癌やC型ウイルス肝炎患者のDAA治療後症例の血清を対象とし、 糖タンパク質糖鎖(N-結合型糖鎖、O-結合型糖鎖)、スフィンゴ糖脂質、グリコサミノグリカン(コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸)、遊離オリゴ糖等の複合糖質糖鎖等の包括的解析をおこない、組織障害のステージに有意に関連する修飾糖鎖構造およびそのキャリアタンパク質の候補を同定した。2.肝線維化、星細胞活性化に関連する組織中、血清分泌型microRNAの網羅的探索から、申請者が同定した肝線維化軽快例で上昇するmiRNA4種を培養星細胞に遺伝子導入解析し、αSMA発現、コラーゲン産生、ケモカイン分泌関連遺伝子が有意に上昇することを確認した。3.MSC培養液から肝線維化抑制効果を担う蛋白、小分子の探索および上清蛋白糖鎖修飾構造の網羅的解析をおこなった。4.培養肝星細胞由来RI-T細胞株および初代ヒト肝星細胞を用いて、Kuppfer細胞共培養下のLPS刺激、TGF-β添加培養などにより活性化星細胞構築のための培養条件の設定等をおこなった。 次年度以降さらにanti-miRNAによる発現抑制が星細胞活性化抑制、肝線維化抑制効果をもたらすか否かを検証し、未だunmet needsである肝線維化を標的とした新規治療に対する、糖鎖修飾構造を標的とした分子標的治療薬開発のproof of concept獲得を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、患者血清の複合糖鎖解析、血清分泌型microRNAの網羅的探索、MSC培養液から肝線維化抑制効果を担う蛋白、小分子の探索など、概ね順調に研究の着手ができた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、同定された候補miRNAの制御遺伝子のpashway解析、さらにanti-miRNAによる発現抑制が星細胞活性化抑制、肝線維化抑制効果をもたらすか否かを検証する。さらに、SILAC法による活性化星細胞のプロテオーム解析および候補蛋白の抽出をおこなう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
欠席複合糖鎖の解析費用に残額が生じた。同解析は次年度以降も継続する計画であり、次年度助成金と合わせて執行する予定である。
|