研究課題
左右非対称などの臓器位置決定は発生段階で位置運命決定因子により制御されているが、臓器位置が決定し成体となった後でも位置運命決定因子は発現し続けている。しかしながら成体後の位置運命決定因子による制御機能はほとんど解析されておらず、特にヒトにおける作用は全く不明である。申請者が専門としている炎症性腸疾患(IBD)では好発部位が知られており、潰瘍性大腸炎では直腸、クローン病では回腸末端が初発となることが多いが、なぜその部位に発症するか詳細な分子機構は不明である。本研究では、腸管の異なる部位由来のオルガノイドでの位置運命決定因子発現を動揺させることにより細胞機能が置換されることを確認し、位置運命決定因子と疾患感受性の関連を明らかとすることで病変好発部位形成の病態を解明することを目的とする。1)位置特異的大腸オルガノイド機能解析においては、左側の直腸及び右側の上行結腸より大腸オルガノイドを樹立した。増殖、幹細胞分画、炎症刺激応答、炎症刺激耐性を評価し、上皮細胞機能の部位別差異を解析した。2)位置運命決定遺伝子の抽出においては、両部位オルガノイドのマイクロアレイにより発現差異を認めた遺伝子を抽出した。3)位置運命決定遺伝子の確認においては、手術検体組織を用いて、生体組織内でも位置運命決定遺伝子の発現差異が維持されているかを手術検体を用いて、定量PCR及び免疫染色にて確認を行った。4)位置運命決定遺伝子発現の動揺においては、上行結腸由来オルガノイドにCrisper/CAS9システムを用いて特異的遺伝子を欠失させた。さらに、レンチウイルスを用いて直腸由来オルガノイドに特異的遺伝子を発現させた。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
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