研究課題/領域番号 |
18K19539
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
柴 祐司 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (70613503)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
キーワード | 再生医療 / 徐脈性不整脈 / ペースメーカー |
研究実績の概要 |
(1)移植後不整脈発生のメカニズム解明 未分化ヒトiPS細胞から心筋細胞を作製し、in vitroにおける、電気生理学的特性を評価するために、パッチクランプ法を用いて活動電位を評価した。心筋細胞には一定程度ペースメーカー細胞が含まれていることを確認した。さらに、心筋細胞をラット心臓に移植し、移植後2週または4週、12週で組織評価を行ったところ、ペースメーカー細胞の割合は移植後時間経過とともに減少することが明らかとなった。また、成熟心室筋マーカーであるMLC2vは時間経過とともに増加することも明らかとなった。 (2)バイオペースメーカーの開発 心筋細胞からペースメーカー細胞を選別するために、ペースメーカー細胞特異的転写因子であるSHOX2遺伝子領域下流に蛍光蛋白DsRed遺伝子および抗生物質ネオマイシン耐性遺伝子をCRISPR-Cas9を用いて導入した。遺伝子改変iPS細胞から心筋細胞を作製したところ、わずかに蛍光発色するペースメーカー細胞の存在が確認できたが、蛍光発色による選別は困難であった。そこで、DsRedをGFPに変更し、同様の検討を行ったがやはり蛍光強度は不十分であった。そこで心筋細胞のRNAシークエンスを行い、SHOX2の遺伝子発現量を確認したところ、非常に発現量が低いことが判明した。SHOX2以外のペースメーカーマーカーとして、HCN4に着目しHCN4遺伝子領域に蛍光蛋白が発現する細胞株を作製することとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)移植後不整脈発生のメカニズム解明について当初の予定以上に研究が進行し、移植後に一過性不整脈のメカニズムが解明できた。(2)バイオペースメーカーの開発について、マーカー遺伝子が機能しない原因をRNA敷く―エンスにより同定した。現在別のマーカーを用いて細胞作製を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)移植後不整脈発生のメカニズム解明について、移植後の詳細な組織評価を行った上で、論文投稿を行う。(2)バイオペースメーカーの開発について遺伝子改変細胞を作製し、作製したペースメーカー細胞のin vitroにおける機能評価を行った上で、in vivo移植実験を開始する。
|