研究課題
マウス心筋細胞を用いた相同組み換え修復(HDR)我々は、マウス培養心筋細胞を用いて、心筋ミオシン軽鎖をコードするMyl2遺伝子に着目し、その3’末端に蛍光タンパク質であるtdTomatoをコードするDNA配列を、ゲノム編集を用いて正確に導入する系を確立した。これまでに新生仔マウス培養細胞を用いた実験系において、HDRが生じることを見出していたが、本研究においては、マウス成獣の心臓組織において同様のHDRが生じるかを検証した。特異的ガイドRNA及び修復DNAテンプレートをパッケージングさせたアデノ随伴ウイルスを作成、精製し、Cas9タンパク質を恒常的に発現する成獣マウス心臓組織に投与した。更にヒトiPS分化心筋に対して、特異的ガイドRNA及び修復DNAテンプレートをAAVを用いて導入し、サルコメア遺伝子の3’末端に蛍光タンパク質を導入することを試みた。ゲノム編集技術を駆使した精密なヒト疾患iPS細胞アレル改変と病態解析我々は、特発性拡張型心筋症と診断され、難治性心室性不整脈及び両心室拡大を呈した症例に遺伝解析を行い、ホモ接合型デスモグレイン2(DSG2)ナンセンス変異を同定した。左室補助人工心臓植込み手術時に得られた左室心筋検体を用いて免疫染色を行ったところ、心筋組織介在板におけるデスモグレイン2の発現は完全に欠損し、心筋細胞における空胞変性像やデスモゾーム関連タンパク質の異常沈着像を認めた。透過型電子顕微鏡を用いて微細構造を観察したところ、顕著な介在板の離開像を認めた。末梢血単核球からiPS細胞を樹立し、CRISPR-Cas9ゲノム編集技術を用いて、HDRにより変異を正常に修復したアイソジェニックiPS細胞を作成した。これらのiPS細胞を心筋細胞(CM)に分化させ、機能解析を行った。
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