研究課題
1. コネキシン40(Cx40)変異Q58LのCrispr/cas9ヘテロノックインマウス(Cx40-Q58L-KI)は作成に成功し、生後8か月まで心電図を経過観察したが、明白な伝導障害はなかった。ヒトと違ってマウスの房室結節には別のコネキシンCx30.2が発現しているため、これがCx40の機能異常を補って、伝導障害を不顕性化している可能性が考えられた。そのためCx30,2のホモノックアウトマウス(Cx30.2-KO)をCRISPR/Cas9で作成し、Cx40-Q58L-KIと交配した(Cx40-KI/Cx30.2-KO)。2系統のマウス(Cx40-Q58L-KI、Cx40-KI/Cx30.2-KO)の遺伝型を確認ののち胚を凍結し、国立循環器病研究センター(国循)に移送した。2. Cx45の変異R75HノックインマウスもCRISPR/Cas9法で試みたが、sgRNAやオリゴを数回変えて試したが出生しなかった。また、遺伝子編集の簡便化と迅速化を図るため、野生型マウスの自然交配により着床前胚を有する子宮~卵管に核酸とCRISPR/Cas9タンパクを注入し卵管全体に電気穿孔法を行う「iGONAD法」を試みたが、これも無効であった。
3: やや遅れている
Cx40系統のマウスは確立したが、Cx45変異KIは出生しない。Cx45のホモKOマウスは胎生致死であることが知られているが、マウスでは胎生期の生命維持に重要な役割を担うタンパクのため、ヘテロのミスセンス変異も生まれない可能性がある。
1. Cx40の2系統のマウス(Cx40-Q58L-KI, Cx40-KI/Cx30.2-KO)は、2019年7月の国循の新実験動物施設オープン後、凍結胚から個体復元を行い、心電図・電気生理学的解析を行う。2. Cx45に関しては、新たな手法として、C57BL/JマウスのES細胞にCRISPR/Cas9で遺伝子編集で変異ノックインをおこない、このES細胞を受精直後の受精卵に注射して子宮に戻し、キメラ状態での個体出生を試みる。
Cx45-KIマウスがこれまでの方法では全く出生しなかったため、その後の機能解析実験が行うことができず次年度使用額が生じた。2019年7月以降、異動先の国循の施設内機関の協力を得てもう一度マウス作成を開始する。
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