研究課題
これまで、申請者らは、膵β細胞から分泌されるインスリンが、脂肪組織マクロファージにおいてGDF3の産生を促進し、GDF3が脂肪細胞上の受容体ALK7を活性化することによって、脂肪分解を抑制し、脂肪蓄積を増大させることを、マウスの系を用いて報告してきた。最近、ヒトにおいても、ALK7の遺伝子多型が、内臓脂肪蓄積や糖尿病発症リスクの減少と関連するということが、遺伝学的解析により、他グループから報告され、この新奇・多種細胞間シグナル系が、種を超えて機能する普遍的なものであることが示唆されている。しかしながら、マウスにおける遺伝子変異と異なり、ヒトで見出された遺伝子多型が、ALK7の機能にどう影響するかは不明であった。申請者らは、ヒトで見出された遺伝子多型が、ALK7下流のシグナルを伝達できず、そのの機能を不活性化させることを見出し、マウスにおけるALK7機能欠失の表現型と符合する知見を得られた。そこで、ALK7治療標的としての有用性を検証するため、肥満マウスに対してALK7中和抗体を投与したところ、血中レプチン濃度、脂肪組織マクロファージ数、脂肪重量を、著明に減少させることを認めた。この効果は、遺伝学的に欠失したマウスでは認められなかったことから、抗体の特異性が証明された。Balb/cマウスが同様のALK7遺伝子変異を有しているにも拘わらず、正常に発育することを考え合わせると、これらの知見は、ALK7が、ヒトにおいても、重大な副作用を引き起こさずに、肥満やそれに伴う糖尿病感受性を軽減させる、有力な治療標的になりうることが示唆される。以上の知見は、現在、論文作製中である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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