今後の研究の推進方策 |
(1)脂肪髄による造血幹細胞の老化・加齢関連骨髄球系腫瘍発症促進効果の検証:脂肪髄モデルマウス (LepR-Cre;Bmi1fl/fl) に加齢関連骨髄球系腫瘍を発症しうるマウスの骨髄細胞を移植する。野生型骨髄に加えて、加齢関連骨髄球系腫瘍モデル (Tet2 fl/flとEzh2 fl/fl, Tet2 fl/fl Ezh2 fl/fl) (Muto et al., J Exp Med 2013; Kashio-Mochizuki et al., Blood 2015) の骨髄細胞を移植する。移植後、野生型造血幹細胞の加齢変化の推移を検証するとともに、タモキシフェン投与により標的遺伝子 (Ezh2, Tet2) をノックアウトし、MDS, MDS/MPN発症経過を観察する。コントロールとして野生型レシピエントマウスを用いる。 (2)加齢関連骨髄球系腫瘍発症の促進に関わる加齢ニッチ由来因子の同定:脂肪化骨髄による加齢関連骨髄球系腫瘍発症の促進効果を確認後、この過程に関わる加齢ニッチ由来責任因子の同定を試みる。脂肪髄マウス (LepR-Cre;Bmi1fl/fl)よりLepR+傍血管間葉系ストローマ細胞と脂肪細胞を分取し、RNAシークエンスにより、野生型コントロールと比較して発現変動する分泌蛋白・膜蛋白群を抽出する。また、骨髄液を採取し、サイトカインアレイにより変動する骨髄内サイトカイン、増殖因子、ケモカインを同定する。また、候補分子の正常ならびにMDS幹細胞の増殖への効果を培養系において検証する。これらのデータをもとに、加齢ニッチ由来責任因子を同定する。
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