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2019 年度 実施状況報告書

アレルギー疾患におけるT細胞サブセットに共通する過敏性亢進発症機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K19561
研究機関広島大学

研究代表者

神沼 修  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (80342921)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワード過敏性亢進 / アレルギー / T細胞
研究実績の概要

さまざまな臓器に発症するアレルギー疾患では、特にその重症化に伴い、特異抗原により強く反応するようになると共に、非特異的刺激に対しても症状が誘発されるようになる状態、すなわち過敏性亢進が共通してみられる。しかし、各アレルギー患者の局所に存在するどの細胞が、どのような分子の役割によって過敏性亢進を誘発するのか、解明されていない。そこで本研究では、1)これまでの概念を覆す新たな発見、2)T細胞サブセットの共通性、3)適切な比較解析コントロール、4)オリジナル解析ツールでの検証をキーポイントとし、「各種T細胞サブセットが共通して産生/発現する分子によって過敏性亢進は引き起こさ
れる」という仮説を検証する流れで過敏性亢進誘発因子同定を目指している。
本年度は、研究実施計画に従い、T細胞の刺激培養により発現する分子に関し、培養上清、細胞ライセートにおける蛋白およびmRNAレベルで、それぞれプロテオームおよびマイクロアレイ解析を継続している。過敏性亢進を誘発するTh1, Th2, Th9, Th9+ステロイドおよびTh17細胞の一群と、ナイーブCD4陽性T細胞およびTh2細胞+ステロイド群の間で比較した結果、前群のみで共通に発現がみられるものが見いだされつつあることから、それらの分子をノックアウトした遺伝子改変マウスの作製に着手した。
本研究において、T細胞サブセットに共通する過敏性亢進誘発因子の同定を目指すことは、T細胞研究の新潮流を切り開くと共に、アレルギー疾患領域に、より
新たな概念の治療法開発に向けたパラダイムシフトを生むことが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

過敏性亢進誘発因子の探索研究推進中:T細胞の刺激培養により発現する分子に関し、培養上清、細胞ライセートにおける蛋白およびmRNAレベルで、それぞれプロテオームおよびマイクロアレイ解析を継続中。過敏性亢進を誘発するTh1, Th2, Th9, Th9+ステロイドおよびTh17細胞の一群と、ナイーブCD4陽性T細胞およびTh2細胞+ステロイド群の間で比較した結果、前群のみで共通に発現がみられるものが見いだされつつあり、それらの分子をノックアウトした遺伝子改変マウスの作製に着手している。次年度以降、それらを用いた機能検証を実施してゆく見込み。

今後の研究の推進方策

候補分子の機能検証:候補分子は、以下のアッセイ系で機能を検証するのと並行して、既知情報や各臓器における過敏性亢進誘発反応の特性、すなわち平滑筋収縮とくしゃみ反応における構造、刺激伝達経路等の相違、ならびに神経伝達物質等に対する反応の共通性等も踏まえた絞り込みを行う。
<抗原特異的T細胞クローンマウスを用いた過敏性亢進の評価>本マウス個体およびそのT細胞移入マウスに抗原を点鼻チャレンジして鼻粘膜過敏性亢進を誘発する。候補分子における過敏性亢進誘発因子としての機能を、下記マテリアルと方法で評価する。
① リコンビナント蛋白の点鼻投与、② 中和抗体の静脈内投与、③ 移入T細胞へのsiRNA導入、④ 遺伝子改変マウスと交配したクローンマウス個体とそのT細胞移入マウス
<平滑筋収縮アッセイによる評価>マウスまたはヒト気管支平滑筋収縮アッセイ系におけるアセチルコリン等、既知の収縮質による反応に対する増強効果を、下記マテリアルと方法で評価する。
① リコンビナント蛋白を添加、② 中和抗体をT細胞刺激培養上清と同時添加、③ siRNA導入したT細胞刺激培養上清を添加

次年度使用額が生じた理由

所属機関を異動したため、実験再開に時間がかかった分、予定より使用額が少なくなった。翌年度分として請求した助成金と合わせ、主に前年度購入に至らなかった物品費用として使用してゆく計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] T Cell-Mediated Nasal Hyperresponsiveness in Allergic Rhinitis.2020

    • 著者名/発表者名
      Osamu Kaminuma, Tomoe Nishimura, Mayumi Saeki, Akio Mori, Takachika Hiroi
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 43 ページ: 36-40

    • DOI

      10.1248/bpb.b18-01021

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Potential Mechanisms of T Cell-Mediated and Eosinophil-Independent Bronchial Hyperresponsiveness.2019

    • 著者名/発表者名
      Mayumi Saeki 1, Tomoe Nishimura, Noriko Kitamura, Takachika Hiroi, Akio Mori, Osamu Kaminuma
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Science

      巻: 20 ページ: E2980

    • DOI

      10.3390/ijms20122980

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Th9 cells elicit bronchial hyperresponsiveness through eosinophil-independent mechanisms2020

    • 著者名/発表者名
      Saeki Mayumi, Kaminuma Osamu, Hiroi Takachika
    • 学会等名
      第93回日本薬理学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] Differential mechanisms of Th2- and Th9-mediated bronchial hyperresponsiveness in mice2019

    • 著者名/発表者名
      Kaminuma Osamu, Saeki Mayumi, Nishimura Tomoe, Kitamura Noriko, Mori Akio, Hiroi Takachika
    • 学会等名
      第68回日本アレルギー学会学術大会
  • [学会発表] Pharmacological analysis of T cellinduced bronchoconstriction in vitro and in vivo2019

    • 著者名/発表者名
      Mori A, Kouyama S, Yamaguchi M, Kumitani C, Ohtomo-Abe A, Fujita N, Iwata M, Nagayama K, Ryu K, Nakamura Y, Tomita Y, Hamada Y, Hayashi H, Watai K, Kamide Y, Sekiya K, Fukutomi Y, Taniguchi M, Ohtomo T, Kaminuma O
    • 学会等名
      European Academy of Allergy and Clinical Immunology Congress 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] Pharmacological characterization of T cell-induced broncho-constriction2019

    • 著者名/発表者名
      constrictionMori A, Kouyama S, Yamaguchi M, Kumitani C, Ohtomo-Abe A, Fujita N, Iwata M, Nagayama K, Ryu K, Nakamura Y, Tomita Y, Hamada Y, Hayashi H, Watai K, Kamide Y, Sekiya K, Fukutomi Y, Taniguchi M, Ohtomo T, Kaminuma O
    • 学会等名
      ATS International Conference 2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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