研究課題
さまざまな臓器に発症するアレルギー疾患では、特にその重症化に伴い、特異抗原により強く反応するようになると共に、非特異的刺激に対しても症状が誘発されるようになる状態、すなわち過敏性亢進が共通してみられる。しかし、各アレルギー患者の局所に存在するどの細胞が、どのような分子の役割によって過敏性亢進を誘発するのか、解明されていない。そこで本研究では、「各種T細胞サブセットが共通して産生/発現する分子によって過敏性亢進は引き起こされる」という仮説を検証する流れで過敏性亢進誘発因子同定を目指している。本年度は、過敏性亢進を誘発するT細胞培養条件群のみで共通に発現がみられる分子をノックアウト(KO)したマウスを作製し、その機能検証を進めた。研究期間内には確証的なデータ取得に至らなかったが、それらをT細胞依存性過敏性亢進モデルに供することにより、T細胞サブセットが共通産生する神経ペプチド類が、過敏性亢進誘発に関わる可能性をみいだした。それと並行して、T細胞の機能発現に関わることが最近示されたL型アミノ酸トランスポーター1(LAT1)の、T細胞依存性過敏性亢進に対する役割を、LAT1特異的阻害薬JPH203を用いて検討した。その結果、過敏性亢進誘発因子の産生が、LAT1によって制御されていることが示唆され、候補分子を絞り込むための有用な情報が得られた。また、候補因子の絞り込みに活用した、気管支でステロイド抵抗性を示すTh9依存性過敏性亢進につき、臓器間の比較を行った。その結果、鼻粘膜におけるTh9細胞依存性過敏性亢進は、Dex投与により強く抑制された。標的臓器および生体応答間の相違も加味した上で、過敏性亢進誘発因子を再探索する必要性も示唆された。
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