• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

微小環境プロファイリングに基づく末梢性T細胞リンパ腫の予後層別化と新規治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K19565
研究機関九州大学

研究代表者

赤司 浩一  九州大学, 医学研究院, 教授 (80380385)

研究分担者 宮脇 恒太  久留米大学, 医学部, 研究員 (50774709)
加藤 光次  九州大学, 大学病院, 講師 (20571764)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2020-03-31
キーワードPTCL-NOS / 免疫微小環境 / T細胞リンパ腫 / 治療層別化
研究実績の概要

末梢性T細胞性リンパ腫・非特定型(PTCL-NOS)は、T/NK細胞リンパ腫のうち1/3以上を占める最も頻度の高い病型で、その5年生存率は30%と極めて予後不良である。WHO分類ではT/NK細胞腫瘍を細胞起源によって分類されるが、PTCL-NOSはそのいずれにも相当しない分類不能型と定義され、所謂“waste-basket disease”と位置づけられている。この事実は、PTCL-NOSが様々な疾患単位を内包するheterogeneousな疾患概念であることを強く示唆しているが、その層別化や病態解明、治療標的についての研究は大きく立ち後れており、ブレイクスルーが必要な状態である。
そこで、本研究では、この雑多な疾患集団の中から、病態や治療予後といった観点で均一な集団を切り取り、そのメカニズムを明らかにすることで、新規治療法の開発を目指す。
この目的の達成のため、PTCL-NOS症例のホルマリン固定サンプル(FFPE) 68検体を用いて、従来法よりも遙かに高精度な網羅的RNA 解析が可能なnCounterによる遺伝子発現解析を行った。
これらの結果のバイオインフォマティクス解析から、解析症例は、腫瘍T細胞関連遺伝子ではなく、腫瘍周囲環境細胞関連遺伝子の発現によって、より明確に層別化されることが明らかになった。更に重要なことに、この周囲環境因子によって層別化された症例群の臨床的予後は大きく異なっていた。また、特に予後の不良なマクロファージの多い症例では、PD-L1などのimmune checkpoint分子が高発現していることから、これらの群にPD-1/PD-L1阻害薬などのimmune checkpoint阻害薬が奏効する可能性を示された。以上の成果を、Blood Advances誌に発表した(Blood Adv. 2018 Sep 11;2(17):2242-2252)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初は初年度にFFPE検体のRNA発現解析の症例拡大を、2年目に生存に対する影響やそのメカニズムを解明する予定であったが、2018年度のうちにこれらを概ね達成し、論文発表にまで至ったので、当初の計画以上に進捗を認めると判断した。

今後の研究の推進方策

上記の通り、概ね順調に進行しているが、PTCL-NOSにおいて、腫瘍周囲環境がどのように予後を規定するのか、というメカニズムについては、さらなる研究が必要である。
2年目は、多数の抗原発現状態を一枚の組織切片上で評価できるシステムにおいて、予後規定周囲環境細胞の発現している蛋白の評価や、腫瘍細胞との位置関係などを解析することによって、このメカニズムに迫っていきたいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Microenvironmental immune cell signatures dictate clinical outcomes for PTCL-NOS.2018

    • 著者名/発表者名
      Sugio T, Miyawaki K, Kato K, Sasaki K, Yamada K, Iqbal J, Miyamoto T, Ohshima K, Maeda T, Miyoshi H, Akashi K.
    • 雑誌名

      Blood Advances

      巻: 2 ページ: 2242-2252

    • DOI

      10.1182/bloodadvances.2018018754

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi