重症肺炎等による肺の不可逆的破壊病変に対しては、再生医学を駆使した新たなアプローチからの新規治療法の確立が望まれる。近年、終末分化した体細胞に特異的遺伝子を過剰発現させ目的細胞を誘導する直接リプログラミングが報告されているが、肺上皮細胞に関しての報告はなかった。代表者らは、マウス線維芽細胞に特異的4因子を導入し、2型肺胞上皮細胞のマーカーであるSP-C陽性肺上皮細胞の直接誘導に成功した。この誘導細胞を致死量のインフルエンザ感染を行ったマウスに投与したところ、対照群に比べ、有意に生存率が上昇し、ウイルス量も減少し、投与した細胞は一部は気道に生着しており、誘導細胞生着による組織再生が考えられた。
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