研究課題/領域番号 |
18K19567
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
角田 慎一 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (90357533)
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研究分担者 |
井上 雅己 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (80757097)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | TNFR2 / immunocytokine / 制御性T細胞 |
研究実績の概要 |
制御性T細胞(Treg)は、免疫の抑制性制御を担うリンパ球であり、Tregの機能を自在にコントロールすることができれば、免疫難病などの新規治療薬の開発につながると期待される。本研究は、Tregの効率的な増幅・活性化を可能とする医薬品候補、あるいは研究ツールの開発を目的とし、TNFR2に対するリガンドの結合とTNFR2のクラスタリングを可能とする新規モダリティ分子の創製を試みている。具体的には、研究代表者らがこれまでに見出してきた、Tregの機能制御分子としてのTNFR2に関する知見と、独自のタンパク質機能改変体創製技術や抗体工学技術を基に、TNFR2アゴニストタンパク質と抗TNFR2-scFv(single-chain Fv)抗体から構成されるイムノサイトカイン(TNFR2-IC)の創製を目指す。令和元年度は、TNFR2-ICの創製を進め、下記の成果を得た。 ① TNFR2-ICの作製: 独自のタンパク質機能改変技術により、TNFR2選択的に結合し、アゴニスト活性を保持したTNF変異体クローンとしてR2-7を得た。本TNFR2アゴニスト変異体クローンR2-7に前年度に確立したTNF3量体の一本鎖化技術を適用し、scR2-7 cDNAを構築した。さらに、scR2-7と抗TNFR2-scFvを融合したTNFR2-IC cDNAを設計し、哺乳類発現系で産生させたところ、可溶型のTNFR2-ICタンパク質を得ることができた。 ② TNFR2-ICの機能評価: TNFR2-ICのTNFR2への結合性をSPRで評価したところ、TNFR2への結合性は保持されていることが確認できた。また、TNFR2発現細胞を用いた評価により、TNFR2-ICがTNFR2を介した生物活性を発揮しうることも確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はTNFR2アゴニストTNF変異体と抗TNFR2-scFvを融合したTNFR2-ICタンパク質を哺乳類発現系で作製することができた。また、得られたTNFR2-ICタンパク質はTNFR2への結合性と活性を保持していることも確認できた。よって、概ね計画通りに進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られたTNFR2-ICの特性評価を進め、Treg増幅・活性化に対する作用を評価する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に購入を計画していた物品の調達が間に合わなかったため、既存の物品で代用することで対応し、2020年度に改めて調達することとした。
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