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2018 年度 実施状況報告書

代謝酵素ゲノム編集による食道扁平上皮の易発がん状態誘発の試み

研究課題

研究課題/領域番号 18K19577
研究機関金沢大学

研究代表者

源 利成  金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (50239323)

研究分担者 大黒 多希子  金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (30767249)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2020-03-31
キーワード食道 / 扁平上皮がん / 発がん / 糖代謝酵素 / ゲノム編集
研究実績の概要

本研究は食道扁平上皮発がん開始に伴う細胞内グリコーゲン低下、消失が発がんの初期選択圧力であると想定し、グリコーゲン合成系代謝酵素のゲノム編集による扁平上皮自然発がん易誘発状態の細胞・マウスモデル創出を試みる。これにより、発がん剤なしにヒトがん化過程を外挿する食道扁平上皮がんモデル開発に資する食道粘膜易発がん状態の誘導に挑戦する。本研究は食道と頭頚部扁平上皮がんの連鎖に代表されるフィールドがん化現象と、細胞、組織の分化や発がんにおけるグリコーゲン合成系の新たな生物学的機能の一端を拓く可能性を秘めている。
本年度は下記の研究計画を実施した。
(1) 正常ヒト食道扁平上皮細胞のGS欠失やGSK3β恒常的活性化による細胞形質変化の解析
CRISPR-Cas9システムでGSを欠失させるためのガイドRNAを設計し、プラスミドを構築した。また、GSK3βの第9セリンをフェニルアラニンに置換した恒常的活性型GSK3βS9Fの発現プラスミドを構築した。まず、形質転換効率の高い細胞を用いて各プラスミドのゲノム編集効率を確認した。そして、食道がん切除検体の非がん部から扁平上皮初代培養細胞を調整し、遺伝子導入とスクリーニングを開始した。
(2) マウス食道粘膜のGS欠失やGSK3β恒常的活性化による細胞分化や前がん性変化の解析
C57BL/6マウスの扁平上皮特異的にGSを欠失させるために必要となるK5 promoter-CreマウスとGS-floxマウスを作出して、その遺伝子型を確認し、これらのマウスの交配によるGSヘテロ欠損マウス(F1)の作製に着手した。また、扁平上皮特異的に活性型GSK3βS9Fを発現させるため、GSK3β-floxマウスにK5 promoter-loxP-stop-loxP-GSK3βS9F(コンストラクト構築中)を導入し、K5-Creマウスと交配する計画を立案した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

細胞の代謝酵素ゲノム編集の実験は当初の計画通りに進められた。
マウスゲノム編集に必要とするK5プロモーター遺伝子を理化学研究所から、そして遺伝子組換えGS-floxマウスとK5-Creマウスをそれぞれバルセロナ医生物学研究所と熊本大学生命資源研究・支援センターから入手する過程で、研究試料の提供に関する覚書所(MTA)などの手続きに時間を要した。また、バルセロナから遺伝子組換えマウスの輸送の際に、相手方の書類の不備のため本学への搬送が遅くなり、交配実験が予定より大幅に遅れた。

今後の研究の推進方策

CRISPR-Cas9によるGS欠失や恒常的活性型GSK3βを導入した正常ヒト食道扁平上皮細胞の樹立を継続して試みる。初代培養細胞に対しては遺伝子導入効率が低いため、異なるトランスフェクション法やスクリーニング法を並行して検討し、細胞樹立までの短期化を図る。そして、クローン化したゲノム編集細胞のグリコーゲン量、糖代謝特性、増殖・コロニー形成などを正常細胞と比較し、グリコーゲン代謝酵素のゲノム編集によるがん化への影響を細胞レベルで検証する。
扁平上皮特異的なGS欠損マウスと恒常的活性型GSK3βトランスジェニックマウスの作製を引き続き推進する。また、次年度からGSヘテロ欠損マウスおよびホモ欠損マウスを対象に、GSの上皮での遺伝子欠損を免疫染色などで確認する。そして、GSヘテロ欠損マウスを対象に、組織学的な形態観察と食道粘膜層のヨード染色により、GSの欠失に依存する前がん性変化の検証を開始する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] NF-κB-induced NOX1 activation promotes gastric tumorigenesis through the expansion of SOX2-positive epithelial cells2019

    • 著者名/発表者名
      Echizen Kanae、Horiuchi Keigo、Aoki Yayoi、Yamada Yoichi、Minamoto Toshinari、Oshima Hiroko、Oshima Masanobu
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 38 ページ: 4250~4263

    • DOI

      10.1038/s41388-019-0702-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Tumor p16INK4 gene expression and prognosis in colorectal cancer2019

    • 著者名/発表者名
      Kitamura H, Takemura H, Minamoto T
    • 雑誌名

      Oncol Rep

      巻: 41 ページ: 1367-1376

    • DOI

      10.3892/or.2018.6884

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MicroRNA-135b acts downstream of interleukin-1 signaling during inflammation-associated gastric carcinogenesis2019

    • 著者名/発表者名
      Han TS, et al.
    • 雑誌名

      Gastroenterology

      巻: 156 ページ: 1140-1155

    • DOI

      10.1053/j.gastro.2018.11.059

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Colorectal cancer cells require glycogen synthase kinase-3β for sustaining mitosis via translocated promotor region (Tpr)-dynein interaction2018

    • 著者名/発表者名
      Dewi FRP, et al.
    • 雑誌名

      Oncotarget

      巻: 9 ページ: 13337-13352

    • DOI

      10.18632/oncotarget.24344

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] バレット食道から発癌過程での微小環境の変化とGSK3β阻害による抑制2018

    • 著者名/発表者名
      宮下知治,源 利成,太田哲生
    • 学会等名
      第104回日本消化器病学会総会
  • [学会発表] Inhibitor of GSK3β impedes the development of reflux-induced esophageal cancer in a surgical rat model2018

    • 著者名/発表者名
      Miyashita T, Minamoto T, et al.
    • 学会等名
      Digestive Disease Week (DDW) 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] GSK3βは大腸がんのがん原性オートファジーを促進する2018

    • 著者名/発表者名
      堂本貴寛,ほか
    • 学会等名
      第77回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 大腸鋸歯状病変における,遺伝子変異,コピー数変化,DNAメチル化の統合解析2018

    • 著者名/発表者名
      澤田 武,ほか
    • 学会等名
      第77回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] Integrative analysis of gene mutations and DNA methylation in colorectal serrated lesions2018

    • 著者名/発表者名
      Sawada T, et al.
    • 学会等名
      26th United European Gastroenterology (UEG) Week 2018
    • 国際学会

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公開日: 2022-03-04  

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