研究課題
ブタを臓器発生の足場として使う再生医療やバイオ人工臓器(異種移植)の開発が進んでいる一方で、未だブタ内在性レトロウイルス(PERV)の問題が取り沙汰され続けている。今回の研究の大きくは、ヒトへのPERV感染の可能性の少ないブタを作る事にある。我々は特許が問題視されているCRISPR/Cas9法を避けて、日本独自の遺伝子Knockout法であるCRISPR/Cas3法を用いてこのブタ作りをする事にしている。既にブタGal-T(GGTA1)に対するknockout(KO)に関しては、CRISPR/Cas3法にて一定の成果を治めている。また、昨年度末までにブタのCHAMやDol-P-mannosidase用のCas3-crRNAを作出している。今回、次のステップとして、PERV-Cの遺伝子について直接KOを試みた。まずはA/Cキメラを検討し、多くの論文より、PERV-A部位は常にenb領域の5‘側にあり、反対にPERV-Cの部位はTM側であることを確かめた。そこで、envのstop codonの位置から上流へ向けたCRISPRのsite部位を設定しpBS-U6-crRNAを作り、これとBPNLS-hCas3およびtk-Neoを融合したplasmidを作り出した。そしてpX-Cascadeと同時にブタの繊維芽細胞に遺伝子導入をこころみた。PCR検査でその効果を確かめている。また現在、ヒトの細胞へのPERV-C(A/C)の感染実験を、以前はPERV-BによるLacZ-Pseudotype assay法で行ってきたが、PCR検定による方法で整備している。また、PERVを自然に放出しているPK-15細胞 (ブタ腎癌由来) が検査の結果PERV-C freeであることが判明したため、通常の繊維芽細胞を検定に用いる事にした。
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Transplantation Proceedings
巻: 52 ページ: 1910~1912
10.1016/j.transproceed.2020.01.141
巻: 52 ページ: 1913~1915
10.1016/j.transproceed.2020.01.140
巻: 52 ページ: 1916~1918
10.1016/j.transproceed.2020.01.154