研究課題
本研究の目的は、若年者・遺伝性乳がんが疑われる症例に対し、インフォームドコンセントの元に手術時に乳癌組織、正常皮膚組織を採取し、初代培養した細胞に対してオラパリブ処理前後のG2期におけるDNA二重鎖切断の状態を指標とした相同組換え修復能アッセイを確立することである。これまでに確立した手法で相同組換え修復能の低下が疑われる細胞より抽出したDNAを用い、whole genome sequencingのデータ解析を行った。解析ツールのゴールドスタンダードであるBWA-GATKによる解析後に、HaplotypeCallerによるsingle nucleotide variant (SNV)を中心としたバリアントコール、strelka/manta等を用いた正常部・腫瘍部ペアでstructural variant (SV)を中心としたバリアントコールを行い、腫瘍組織でのがん細胞の純度まで考慮し、遺伝性相同組換え修復低下、トリプルネガティブがんに見られるde novoでの相同組換え修復低下の両方の遺伝モデルで原因遺伝子の探索を行った。これまでに遺伝性乳がんとの関連が確定・示唆されている候補遺伝子における変異を確認したが、再検証に耐えた変異は同定できなかった。次に、全遺伝子に解析対象を広げ、上記モデルに合致する変異を抽出した。すでに登録されている遺伝子の機能からは、残念ながら積極的に相同組換え修復不全となりそうなものは挙げられず、機能が不明なものに関しては、培養細胞による検証が必要で、ここまでの結果からは、実際の症例から得た培養細胞で確証を得ることはできなかった。また、複数の症例に重複する変異も得られなかった。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 5件)
Science Advances
巻: 6 ページ: eabd7197
10.1126/sciadv.abd7197
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 117 ページ: 14412-14420
10.1073/pnas.1920165117
Journal of Medical Genetics
巻: 57 ページ: 245-253
10.1136/jmedgenet-2019-106213
Thyroid
巻: - ページ: -
10.1089/thy.2020.0308
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻: 105 ページ: e4328-e4336
10.1210/clinem/dgaa573