研究課題/領域番号 |
18K19605
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80251544)
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研究分担者 |
武智 正樹 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10455355)
塗 隆志 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (40445995)
二宮 洋一郎 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 特任研究員 (90237777)
上田 晃一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (90257858)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 機械学習 / X線microCT / 骨格形態 |
研究実績の概要 |
これまで定性的に記述・診断されてきた頭蓋顎顔面の形態異常に対して客観性を導入するための研究基盤として、頭蓋骨早期癒合症の疾患モデルマウスを用いて頭蓋顎顔面の形態情報や成長パターンを定量的データとして取得することを目指している。Seathre-Chotzen症候群のモデルマウス(Twist1+/-マウス)とApert症候群のモデルマウス(EIIa-Cre;Fgfr2Neo-S252W/+)マウスについて、3-9週齢において2週間隔で体重測定と頭蓋顎顔面のX線microCT像の撮影を行い、骨格イメージの経時的データを取得した。三次元再構築ソフトウェア上で頭蓋顎顔面の解剖学的標識点となる40点のランドマークを設定し、形態測定解析用ソフトウェアMorphoJを用いて一般化プロクラステス解析(GPA)と主成分分析(PCA)を行った。Seathre-Chotzen症候群モデルマウス(延べ41例)においては、3週齢では雌雄ともに典型的な短頭蓋の形態を示し、その後は野生型マウスとは明瞭に異なる成長パターンを示すことを明らかにした。このことは、マウスの頭蓋顎顔面の発育においてこの成長パターンに近似することがSeathre-Chotzen症候群の客観的な指標になる可能性を示している。一方、Apert症候群モデルマウス(延べ10例)においては、雌雄ともに3週齢ではSeathre-Chotzen症候群のモデルマウスと比較して著明な短頭蓋を示し、特に頬骨弓の下方低位が顕著であった。現在のところ野生型マウスに類似した成長パターンを示すことが示唆されているが、解析に用いたサンプルが少数であるため、今後さらにサンプル数を増やして検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コントロールサンプルの収集には問題がないが、疾患モデルマウスの標本収集に時間がかかっている。 EIIa-cre;Fgfr2Neo-S252W/+Apert症候群モデルマウスは、生後の成長が悪く、最終的に9週齡まで生存しない個体がおり、解析に十分な数の標本獲得に時間がかかる予定である。 これについては、Fgfr2W290R/+ Courzon症候群モデルマウスも同様の問題があるが、両者とも今年度中には解析可能な数の標本が得られる予定である。 また、使用予定であるErfloxP/KO 頭蓋縫合早期癒合症タイプ4モデルマウスについては、表現型が安定しないなどの問題があることが判明し、十分な解析ができない可能性がある。今後は3種類で比較解析する方針である。
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今後の研究の推進方策 |
可能であれば、頭蓋縫合早期癒合症ではない骨格形成異常マウスを入手し、頭蓋縫合早期癒合症モデルマウスとの頭蓋形態異常を比較することを検討し、これにより頭蓋縫合早期癒合症特異的な頭蓋形態変化の有無を検討できる可能性があると考える。これについては、頭蓋縫合早期癒合症の癒合パターンが多様であることから、区別がつく解析結果が出るかは不明であることを念頭において行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析をするマウスの交配状況が、コントロールとなる野生型マウスと比較して良くなく、マウス飼養のための費用と解析費用を次年度使用する。
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