研究課題/領域番号 |
18K19608
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
安立 匡志 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (40749446)
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研究分担者 |
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 副学長 (70204550)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | Lactobacillus / 子宮内細菌叢 / 腟内細菌叢 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は腸内、腟内および子宮内腔の細菌叢の関係を解明し、妊娠維持に有効な子宮内環境を同定することである。まずは子宮内と腟内の腟内細菌叢の関係を調べるべく、試験の承諾を得られた被検者9名より、子宮内粘液と腟内粘液を同時に採取し、DNAを抽出後、次世代シークエンサーで解析を行った。子宮内粘液はDNA濃度が少いことがわかり、9例中7例で有意義な解析を行えなかった。結果の出た2例ではLactobacillus、Atopobium、Gardnerellaが多く、腟内細菌叢と似た構成になっていることが予想された。子宮内に細菌叢が存在する可能性は高いと思われるが、現在の採取方法では十分なDNA量を採取できていなかったため、まずは子宮内粘液の採取方法を再度検討しなおす必要があると判断した。 また子宮内細菌叢の解析のため、子宮全摘を行った被検者の腟内細菌を解析し、子宮が腟内細菌叢に影響を与えているかどうかの調査を行った。子宮摘出後の腟内では細菌叢が変化しており、Bifidobacteriumが減少していることがわかり、これを学会で発表した。 腸内細菌と腟内細菌の関係性についても同時に採取した6例を検討した。十分量のDNAは採取できており、解析を行うことができた。腟内の細菌ではLactobacillusが多いのに対し、腸内細菌ではClostridialesが多くを占めていた。腟内細菌叢と腸内細菌叢の関係性において共通点が少なく、さらなる検討が必要と思われた。 今後は検査精度をあげるため、検体採取方法についてさらに追及をし、試験数を増やし、腸内、腟内および子宮内腔の3か所を同時に採取し、解析を行っていく。安定した検査精度を得ることができれば、不妊または妊娠女性の検査を行い、初期の妊娠維持に必要な子宮内の細菌叢を網羅的に解析し、妊娠に対するそれぞれの臓器の関係性について研究を行っていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検体採取の承諾を得られる症例が少なく、集めるまでに時間がかかっている。 子宮内腔粘液検体のDNA濃度が低くなっており、子宮内腔の粘液採取で安定した方法を検討し直す必要が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、一番の課題は安定した子宮内腔の検体採取方法を見つけることである。今までは蓋の付いたストローからブラシが出て、採取後にしまえる『エンドサイト』を用いて採取してきたが、十分なDNAは得られなかったため、今後は吸引機能の付いた子宮内腔用ピペットを用いての採取を検討している。安定したDNA採取ができることが確認できたところで、腸内、腟内、子宮内の細菌叢の同時検査のできる対象症例を集めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象症例が想定よりも足りず、次世代シークエンサーなど比較的費用の掛かる検査の数がが、当初の計画よりも少なくなってしまったために金額にズレが生じた。 次年度は、これまでの経験をもとに症例を集め検査を行うことで想定した費用を使用することになると思われる。
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