本研究の目的は腸内、腟内および子宮内腔の細菌叢の関係を解明し、妊娠維持に有効な子宮内環境を同定することであった。腟内と子宮内、腸内の3か所の細菌叢を同時に採取しそれらを比較・検討を行う予定であったが、3か所を同時に採取できる被検者がなかなか集まらなかった。被検者が集まらないため条件を変更し、まずは腸内と腟内だけでも調査を行うべく被検者集めを行ったが、新型コロナの影響もあり、病院内での検体集めが困難になってしまった。また研究内容が糞便や膣分泌物の採取となるため、新型コロナ感染の観点からも協力をほとんど得られず、被検者を集めることが非常に困難であった。 実際に得られた検体は非妊娠可能年齢6人分の腟内・腸内細菌のみで、これらの検体から推測できることは、腟内細菌叢と腸内細菌叢はそれぞれが独立しており、お互いに影響を与える可能性が低いということであった。また腸内細菌はある程度は一定であるが、腟内細菌は個人差が非常に大きいということも推測できた。しかし今回の調査からは妊娠維持に有効な子宮内環境を推測できるまでには至らなかった。 今回の調査で腟内・子宮内・腸内細菌叢の関係性についての調査は進展が得られない結果となってしまった。
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