研究課題/領域番号 |
18K19609
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大森 孝一 京都大学, 医学研究科, 教授 (10233272)
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研究分担者 |
山下 勝 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立総合病院(救急診療部、循環器病診療部、がん診療部、臨床診療部, 臨床診療部, 科部長・主任医長 (10635519)
楯谷 一郎 藤田医科大学, 医学部, 教授 (20526363)
中村 亮介 京都大学, 医学研究科, 研究員 (40736708) [辞退]
岸本 曜 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (80700517)
青山 朋樹 京都大学, 医学研究科, 教授 (90378886)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 声帯 / 上皮細胞 / 繊維芽細胞 / 層構造 |
研究実績の概要 |
ラットを用いて、細胞をシート化し積層することにより、in vitroモデルの声帯組織を作製した。作製した組織の妥当性を検証した。 ラットの喉頭を採取し, 過去の報告(Mizuta et al. 2017)に基づき、酵素処理を行うことにより声帯上皮細胞と粘膜下の線維芽細胞を分離した。分離した細胞は各々プレート上で単培養を行った。 上皮細胞はコラーゲンコートされたセルカルチャーインサートに継代しバリア機能の評価目的にtransepithelial electrical resistance(以下TEER)の計測を行った。継代後4日目にはTEERは500Ω・cm2程度にまで上昇し, 7日目には1000Ω・cm2以上に達した。防御機構の中心的な役割を担うとされるタイトジャンクションの成熟により透過性が低下し, 抵抗が上昇したと考えられた。7日目以降はTEERは2000Ω・cm2程度で推移した。またタイトジャンクションの構成蛋白であるZO1やOccludinを用いた免疫染色でタイトジャンクションの発現や重層化構造を観察できたことから上皮細胞のバリア機能が成熟したと考えられた。 次に培養した各細胞を酵素などを用いてシート状に剥離し, それを積層することで積層シートの作製を行った。酸素や栄養が行き届くようにシートとシートの間にはゼラチンハイドロゲル粒子を挟んだ。作成した積層シートが十分な機能や構造を有していることを組織学的に確認した。 完成した声帯組織は約300μmの厚さであり, 自家移植実験に十分な強度および大きさを有していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞シートおよびその積層方法の確立に時間を要したため、移植実験に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はイヌを用いて細胞積層シートを作製し, 声帯へ自家移植実験を行うことによる声帯組織再生効果を検証する予定である。3 次元的な高次組織再生効果が確認できれば、今後声帯の再生医療に大きく貢献することが期待され, 将来的には積層化した細胞シートを臨床応用していくことを目標としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞積層シート作製方法の確立に時間を要し、移植実験に至らなかったため次年度使用額が生じた。残額を用いて、予定通りイヌを用いた移植実験を行う予定である。
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