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2019 年度 実施状況報告書

long non-coding RNAの内耳発生・再生における機能

研究課題

研究課題/領域番号 18K19611
研究機関京都大学

研究代表者

山本 典生  京都大学, 医学研究科, 准教授 (70378644)

研究分担者 中川 隆之  京都大学, 医学研究科, 研究員 (50335270)
岡野 高之  京都大学, 医学研究科, 助教 (60642931)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワード内耳 / non-coding RNA / 再生 / 発生
研究実績の概要

1.lnc RNAであるGomafu のノックアウトマウスの聴力を昨年に引き続き測定した。聴性脳幹反応を用いて10、20、40 kHzの聴力を測定した。6週齢、12週齢ではコントロールマウスと比較して聴力の差はなかった。しかし、24週例に聴性脳幹反応を測定すると、20kHzと40kHzの中音域と高音域において、ヘテロマウスと比較してノックアウトマウスで閾値が上昇しており、加齢による難聴がGomafu KOでより進んでいくことが示された。
2.もう一つのlnc RNAであるMalat1のノックアウトマウスでは、24週齢まで聴性脳幹反応を測定したが、KOマウスとヘテロマウスとでは測定したすべての周波数(10, 20, 40 kHz)において聴力閾値に有意な差を認めなかった。つまりMalat1は加齢による難聴には関与しないことが示された。
3.次に、音響外傷に対する反応が、GomafuやMalat1 のノックアウトマウスにおいて通常のマウスと異なるかを検討することを予定した。しかし、音響外傷の条件(スピーカーから出す音の大きさ、持続時間)を、さまざまな設定で検討してみたがコントロールマウスにおいても、聴力低下の度合いが一定しなかった。このため、障害を、薬物による障害に切り替えて蝸牛器官培養上での研究を行うこととした。有毛細胞を障害する作用のあるアミノグリコシドを、培養蝸牛に加える系で研究を行った。アミノグリコシドに対する保護作用を有するIGF1を投与すると、アミノグリコシドのみを投与した場合と比較してMalat1の発現量が下がることがマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子解析で判明したため、これを定量的RT-PCRで確認する研究を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年は、音響外傷のin vivo モデルの作成に研究のリソースをとられたため、本来予定していたlncRNAのノックアウトマウス蝸牛由来の単一細胞を用いた網羅的遺伝子解析の準備を行うことができなかった。音響外傷の条件検討としては、付与する音の音圧、持続時間、マウスへの麻酔の有無、音響を付与する際にマウスを収めておく容器の検討などを行った。
しかし、ノックアウトマウスの聴力の加齢変化は測定することができて、Gomafu ノックアウトマウスでは24週齢で聴力の悪化をきたすことが判明した。これはこれまで報告のないことでlncRNAが聴力に関連することを示唆する初めての所見である。

今後の研究の推進方策

2020年度は音響外傷のプロトコールを確定して、各ノックアウトマウスの音響外傷による聴力の変化を検討する。音響の負荷が均等に実験ごとに均等になるように、音響負荷時にマウスを入れておく容器に、容器内での実際の音圧を測定するための騒音計を設置して、常に音圧を一定になるように音響負荷を行えるシステムを構築する予定である。
また、加齢による内耳の形態の変化をノックアウトマウスとコントロールマウスとで比較することにより、Gomafuの加齢性難聴における役割を解明する予定である。音響外傷によるGomafuノックアウトマウスの表現型が明らかな場合は、加齢性難聴と同様の内耳の形態学的な観察を行う予定である。
さらに、当初2019年度途中から開始予定であったノックアウトマウスとコントロールマウスとの蝸牛の単一細胞レベルでの遺伝子発現プロファイルの違いを検定する研究を進めていく。すぐに実験にうつれるようにするために、2019年度から解析に用いる両ノックアウトマウスの数が十分足りるにそろえるよう増やしている。

次年度使用額が生じた理由

2019年度は、音響外傷のin vivo モデルの作成に研究のリソースをとられたため、本来予定していたlncRNAのノックアウトマウス蝸牛由来の単一細胞を用いた網羅的遺伝子解析の準備を行うことができなかった。網羅的遺伝子解析には多額の研究費を使用予定であったため、約125万円の使用残が生じた。
2020年度は、2019年度に使用しなかった研究費を用いて、2019年度に行えなかった網羅的遺伝子解析(単一細胞採取、RNA調整、cDNA合成、RNA sequencing)を行う予定である。また、音響外傷を安定して行うために、騒音計なども購入する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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