研究課題/領域番号 |
18K19627
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (20210627)
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研究分担者 |
山本 悟 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10344524)
平田 恵理 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10722019)
高野 勇太 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (60580115)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | カーボンナノ物質 / マクロファージ / 骨形成 / インプラント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、カーボンナノ物質(CNMs)の生体内分解性(吸収性)と生体に対する反応(刺激)の関係を明らかにするともに、我々が考案したCNMsの軽微な刺激により産生されるサイトカインがマクロファージを誘導、分化し、組織の間葉系細胞などを介して組織修復・骨再生を促進するという仮説を実証することにより、CNMsの生物学的特性を用いた新たな組織修復・骨再生のストラテジーを構築することである。本年度は、チタン(Ti)表面にカーボンナノホーン (CNHs) を修飾したCNH/Ti上でマクロファージを培養し、遺伝子発現を解析するとともに炎症性サイトカインの産生について検索した。 培養1日後のマイクロアレイによるGene Ontology解析において、Tiと比較してCNH/Tiは、マクロファージのDNAの転写、修復ならびに複製に関する遺伝子がdown regulateされていた。培養3日後のサイトカイン発現量については、CNH/TiのTNFαとIL-6はTiと比較して有意に低く、IL-10は、両者の間に有意差を認めなかった。TNFαとIL-6は、M1型マクロファージが分泌する炎症性サイトカインであり、骨形成の阻害因子であることが報告されている。一方、IL-10はM2マクロファージによる抗炎症性サイトカインとして知られている。以上のことから、Ti表面のCNHsは、DNAの転写、修復ならびに複製を制御し、炎症反応に影響を与えることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の一部である、「in vitroにおけるCNMsの刺激とサイトカインへの影響評価」について、CNH/Ti上でマクロファージを培養し、炎症系サイトカインの測定と、マイクロアレイによる網羅的検索を行った。その結果、マクロファージがCNH/Ti上のマクロファージはTi上とは異なる挙動を示し、CNHsがDNAの転写、修復ならびに複製を制御し、炎症反応に影響を与えることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
申請者らがこれまで研究してきたGBR膜を応用した骨形成モデルを応用しin vivoでの各種CNMsが与える組織修復・骨再生の検討を行う。マウス頭頂部に骨欠損を形成した後にCNH/Tiで被覆し、初期の骨形成を組織学的、免疫組織化学的に検索するとともに、周囲組織のマクロファージに関与する遺伝子の発現をマイクロアレイで網羅的に解析するとともにRT-PCRにて定量的に解析し、CNMs、マクロファージ、骨再生の関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね順調に研究は進捗したが、COVID-19により、発表予定の学会が中止となったため
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