研究課題
申請者は、骨芽細胞がpodoplanin陰性からpodoplanin陽性の状態になると、骨細胞へのスイッチングがOFFからONへと変わる可能性を検索した。骨芽細胞の中でも、僅かに骨基質に埋め込まれた細胞はpodoplanin陽性反応を示すこと、また、podoplaninの微細局在を免疫電顕で観察すると、骨芽細胞の細胞膜のほか骨基質内に埋め込まれた細胞突起の基部に陽性反応が確認された。Podoplaninからのシグナルは細胞膜を裏打ちするEMR familyのリン酸化ならびにアクチン再構築を誘導することで、細胞骨格および細胞極性の変化を誘導し、また、細胞突起の伸長や分布に影響を及ぼすことが知られていることから、骨芽細胞から骨細胞へ分化する際に、細胞骨格および細胞突起の局在変化を伴うと推察された。事実、podoplanin 陽性骨芽細胞のアクチンフィラメントの細胞内局在は、骨細胞の分布と類似していた。さらに、CD44がpodoplaninシグナルを増強することから、骨組織おけるCD44とpodoplaninの局在を検索すると、CD44は破骨細胞の細胞膜に局在しており、そのような破骨細胞に近接するpodoplanin陽性骨芽細胞にはリン酸化ezrin (EMR familyの1つ)の局在が観察された。よって、podoplaninは骨芽細胞から骨細胞へのスイッチングのマーカーに成り得ること、また、それは骨芽細胞におけるリン酸化EMR familyとアクチンフィラメントの再構築を誘導しており、骨細胞へ変換する準備を整えること、さらには、CD44を有する破骨細胞との細胞間接触がそれを促進する可能性が見いだされた。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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