研究課題
1. ヒト多能性幹細胞(hPSC)からの骨芽細胞/骨細胞・破骨前駆細胞誘導法の確立:definedな条件で多能性幹細胞から骨芽細胞を形成する手法を開発していた。そこで、昨年度に引き続き、骨芽細胞特異的に蛍光蛋白質を発現するhPSCの蛍光を指標に、hPSCを高効率に成熟骨芽細胞・骨細胞へ誘導する条件の最適化を試みた。その結果、中胚葉細胞を誘導後に、3種類のシグナルを調節する低分子化合物を使用することで、骨芽細胞をより効率的に誘導できることを見出した。hPSC由来破骨前駆細胞の形成に関しても、昨年度に引き続き、他のグループによって報告された複数の方法を検討した。その結果、本研究に適していると思われる方法を見出しつつある。2. hPSC由来骨芽細胞/骨細胞・破骨前駆細胞と三次元担体を用いた三次元骨様組織(骨オルガノイド)の構築による骨微小環境の再現:多能性幹細胞由来の骨芽細胞/骨細胞および破骨前駆細胞の共存培養のための三次元担体としては、アテロコラーゲンスポンジとポリエチレングリコールハイドロゲルユニット(Tetra-PEGゲル)の使用を予定していた。これらのゲルを用いた三次元培養条件の最適化と並行して、ゲルを用いない共存培養の可能性も探索した。3. hPSC由来骨オルガノイドのイメージングによるカップリングの動的解析系の確立:申請者らがすでに開発したマウス胚性幹細胞由来骨芽細胞とマウス骨髄細胞由来破骨細胞の動的観察系をもとに、観察条件の最適化を行った。
3: やや遅れている
当初計画の通りに、ヒト多能性幹細胞の分化系、三次元培養系、イメージング系の検討が進行しているが、研究代表者の異動による実験系の再立ち上げに時間を要した。現在までに遅れは取り戻しつつある。
今後も当初計画に従って研究を推進する。具体的には、本研究で使用する破骨細胞分化系を決定するとともに、多能性幹細胞由来骨芽細胞との三次元共存培養のイメージングによる動的解析系を確立する。
研究代表者が令和元年5月に現所属機関に異動となったため、異動先での実験系の立ち上げにより、当初計画より遅れが生じた。現在までに進捗の遅れを取り戻しつつあるが、令和2年度は元年度までに得られた結果の再現実験を行うと共に、学会における成果発表および論文の作製と投稿を行う。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Regen Ther
巻: 14 ページ: 19-31
10.1016/j.reth.2019.12.010
巻: 11 ページ: 290-296
10.1016/j.reth.2019.08.007
Biomacromolecules
巻: 20 ページ: 2350-2359
10.1021/acs.biomac.9b00333
Sci Rep
巻: 9 ページ: 7666
10.1038/s41598-019-43948-3
http://www.de.nagasaki-u.ac.jp/dokuji/kaibou-2/