研究課題
研究2年目の2019年度は,まず国内院内感染の約9割を占める薬剤耐性菌MRSAを対象に選び,かつMRSAの主要な耐性因子PBP2’にDNA製抗菌薬の標的を絞って実施した.初年度の研究手法に従い,DNA製の抗菌薬を作製し,in vitroの実験系で効果測定と副反応の検証を実施した.具体的には,DNA製抗菌薬候補群に対し,収集したMRSA株および組換えPBP2’タンパク質を作用させ,結合度のBiacore解析を行った.DNA製抗菌薬候補群の中から,MRSAおよび組換えPBP2’と結合性の高い分子を選出した.そして順次,DNA製抗菌薬候補のMRSAに対する最小発育阻止濃度MICを二段階希釈法で測定した.また,各種濃度にて調整したDNA製抗菌薬候補を濾紙に吸湿させ,寒天平板培地上に培養したMRSA株とディスク感受性試験を実施した.上述の実験内容を1サイクルとし,複数回の実験サイクルを検討したが,MRSA株の生育を特異的に抑制するDNA製抗菌薬候補は得られていない.そこで,調書に記載のバックアップ計画であるペニシリン耐性肺炎球菌についても,併行してDNA製抗菌薬候補の作製実験を行った.まず,約40塩基長のDNA鎖を網羅的に人工合成した.その際に,後の配列決定を考慮し,シークエンスタグをDNA鎖の両端に付加し,DNA製抗菌薬ライブラリとした.次に, 薬剤感受性の通常型の肺炎球菌を基に,ノーマルなPBPの組換えタンパク質を作製した.同時にペニシリン耐性肺炎球菌を基に,薬剤耐性に変異したPBP2’の組換えタンパク質も作製し,それぞれを精製用のアフィニティ-カラムに吸着させた.DNA製抗菌薬ライブラリをPBPアフィニティ-カラムに通した後,未反応画分を耐性因子PBP2’のアフィニティ-カラムと反応させ,PBP2’にのみ吸着したDNAの塩基配列決定した.
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