研究課題/領域番号 |
18K19639
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
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研究分担者 |
大峡 淳 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40266169)
川崎 勝盛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40529640)
川崎 真依子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40584587)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 退縮エナメル上皮 / エナメル上皮腫 / 分化・誘導 |
研究実績の概要 |
エナメル上皮腫は、歯原性腫瘍の中で最も頻度の高い疾患である。外科的処置しか選択肢がないことに加え、術後の機能障害が強くなる。罹患部位によっては著しい審美障害も伴う。また、その多くが人生を大きく左右する重要な時期である10代~20代で発症する。それは、その後の全ての生涯という長きにわたる機能的・審美的障害をも意味する。このようにエナメル上皮腫は、歯科において、克服すべき課題の極めて大きい腫瘍の一つといえる。エナメル上皮腫は歯胚上皮もしくは歯胚様細胞へと異常分化した細胞が由来となる。歯堤、星状網、エナメル上皮などの歯胚構成上皮は、最終的に非常に扁平な退縮エナメル上皮に分化後、ほとんどの活性を失い、萌出とともに体外に排出される。エナメル上皮腫細胞を退縮エナメル上皮に類似した細胞に分化誘導することによって、エナメル上皮腫の進行が抑制される可能性がある。しかしながら、これまでのエナメル芽細胞の研究は、エナメル質形成期間にのみ焦点が当てられており、退縮エナメル上皮という消失していく細胞への分化メカニズム研究は全く行われておらず、退縮エナメル上皮研究が必須となる。そこで、退縮エナメル上皮への分化誘導が制御される「成熟期エナメル芽細胞から退縮エナメル上皮までの分子変化」を解明する。Bmp one morphogenetic protein)は歯の発生に重要な役割を担うことが知られている。各種Bmpのリガンドの発現解析を行い、各リガンド特異的な発現が把握できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全てのステージのエナメル芽細胞が存在するマウス下顎前歯をターゲットとしてきたが、退縮エナメル上皮の採取が困難であることが判明したため、臼歯からの退縮エナメル上皮の採取に切り替えた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、ShhEGFP, kGAL-EGFP, K14Cre;R26R-EGFPマウスの臼歯から、GFPを利用したセルソーティングやレーザーマイクロダイセクションにより、細胞を獲得し、発現遺伝子をRNA-seq、マイクロアレイ、in situ hybridization, 免疫染色などにて検索する。退縮エナメル上皮にのみ、または成熟期エナメル芽細胞にのみ発現する分子を選出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りに使用した。次年度も前述した推進方策にしたがい、必要な実験動物、試薬、ガラス器具等の消耗品類を購入し、また国内外の学会においての成果発表に充てる。
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