研究課題
間葉系幹細胞 (MSCs)は,多分化能,造血支持能,免疫調整機能など多彩な能力を有することが知られているが,老化によりこれらの能力が低下し,加齢変化が引き起こす疾患群(骨粗鬆症,歯周病,サルコペニア等)に関与することが明らかになりつつある.したがって,このMSCsの未分化性維持に関わるメカニズムを明らかにし,その誘導法を開発することが,幹細胞老化をターゲットとする創薬に繋がると考える.我々は,DNAメチル基転移酵素DNMT3aがMSCsの 未分化性維持に関与すること,Prx1・Sca1共陽性MSCsが最も幹細胞性が高い幹細胞であることを解明してきた.本申請研究では,DNMT3aによるMSC未分化性維持機構の分子基盤を解明するため,DNMT3aによってメチル化が制御される遺伝子を網羅的に解析する.また,若齢マウス由来MSCsの方が未分化性が高いという研究成果から,若齢マウスMSCsでより活発に機能する関連遺伝子を抽出し,これら候補遺伝子に対し,iPS細胞樹立技術を逆手に取ったマスター遺伝子同定法を駆使して,未だ誰もなし得ることのできなかったMSCsの未分化性制御に関わるマスター遺伝子を同定する予定である.2019年度は,これまでの解析結果に加え,皮膚線維芽細胞とhBMSCのRNAを回収し,RNA-seq解析を行い,最終的に約20の転写因子が他の細胞と比較し,hBMSCで高発現していることが明らかになった.また,これらの転写因子に対する過剰発現レトロウイルスベクターを作製し,iPS干渉法を用いて,どの転写因子がhBMSCにおいて重要か検討した.
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Cells Tissues Organs
巻: 207 ページ: 115-126
10.1159/000502885. Epub 2019 Oct 1.