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2018 年度 実施状況報告書

1細胞レベルmRNA-ncRNA解析による骨芽細胞のその後の運命決定機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K19647
研究機関広島大学

研究代表者

吉子 裕二  広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 教授 (20263709)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワードシングルセル RNA-Seq / 骨芽細胞 / Cd34 / ncRNA / 骨細胞 / lining cell
研究実績の概要

Col1a1プロモーター制御下でVenusを発現するレポーターマウス(Venusマウス)からVenus陽性(Venus+)細胞(=骨芽細胞)90細胞をシングルセルレベルで取得し、RNAシーケンシングを行った。その結果、Venus+細胞は主として2つの異なるクラスターに分類された。この2つのクラスターは幹細胞マーカーCd34の発現の有無により特徴付けられた。
本件は、この結果を受け、以下の実験を実施した。
(1)対象とするVenus+細胞を90細胞から270細胞に拡大し、シングルセルRNA-Seqを行い、再解析を行った。270細胞のクラスタリングは概ね90細胞と同様の結果であり、クラスタリングに寄与する遺伝子としてCd34を含む複数が抽出された。(2)Venus+細胞からCd34+細胞を分離・培養した。現在、同細胞の性質を精査しているが、増殖力が低く、長期の培養が困難であるため、継続して解析を進めている。(3)同様の理由で、シングルセル レベルのライブラリー作成に至っていない。(4)そのため、現状では、拡大した270細胞のシングルセル RNA-Seqのデータを優先することとし、現在までに複数の特徴的な遺伝子を抽出するに至っている。(5)Venus+/Cd34+細胞の性質を特定するため、、これらの細胞の分離とは別に、以下の方法を新たに検討している:1)Venusマウスの骨組織標本の二重免疫染色:2)Cd34プロモーター制御下でmCherryを発現するレポーターマウス(mCherryマウス)の作製に着手し、Venusマウスとの交配により得られるダブルレポーターマウスを作製し、トレース実験を行う。3)候補遺伝子のin vitroにおける機能解析。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Venus+/Cd34+細胞のシングルセル 解析は、ソーティングで得られる細の数が少なく、培養も困難である現状を鑑み、計画していた新規のシングルセル 解析(ncRNAを主な対象とする)を修正する必要に迫られている。しかしながら、これに代わる新しい実験をスタートさせる(上記(5)参照)ことで、この問題に対応している。また、解析細胞を90細胞から270細胞に拡大したことにより、より多くの情報を得ることができた。その結果、クラスターの特徴に関与することが推定される複数の遺伝子候補が見つかっており、このことも上記(5)の実験計画に加えた。

今後の研究の推進方策

上記のとおり、現段階で十分なVenus+/Cd34+細胞が入手できていないことから、新たにCd34プロモーター制御下でmCherryを発現するレポーターマウス(mCherryマウス)を作製することとした。このマウスとVenusマウスとの交配により、新たに得られたダブルレポーターマウスのトレース実験を行うことで、入手できる細胞数の問題を回避することが可能と考えられる。また、270細胞を解析した結果、Cd34と連動して変動する遺伝子を複数確認することができたため、それらの遺伝子について、培養骨芽細胞株、骨髄ストローマ細胞株を用い、機能獲得もしくは機能欠失実験を開始することとした。さらに、候補遺伝子の1つはすでにノックアウトマウスの報告があるため(骨組織については言及されていない)、同マウス骨の解析に関する共同研究を行うべく、共同研究契約の準備を進めている。また、引き続きVenus+/Cd34+細胞取得のため、産仔数を増やすことも計画している。

次年度使用額が生じた理由

計画していたシングルセル の新規解析に必要な十分な細胞数が得られず、これを中止し、代わりに以前にストックしていたシングルセル RNAを用いた解析へと変更したことが要因。十分な細胞が得られないことを考慮し、新たにダブルレポーターマウス の作製、in vitroにおける機能獲得・機能欠失実験を計画(一部開始)している。

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公開日: 2021-12-27  

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