研究課題
最近、歯周病菌がアルツハイマー病の増悪因子であることが明らかとなっている。脳内に感染した主要な歯周病菌のジンジバリス菌に対し、ミクログリアは突起伸展反応を示す。この突起伸展反応は非活動期に最大となり、活動期に最小となる。このことから、脳内に感染したジンジバリス菌に対するミクログリアの活性化は非活動期に最大となり、活動期には活性化を規制するゲート機構の存在が想定される。そこで本研究は、ミクログリアの活性化を規制するゲート機構の実態を明らかにすることを目的とした。これまでの研究結果よりアミロイド前駆体タンパク質ノックイン(APP-KI)マウスのミクログリアでは野生マウスと比較して次のことが明らかとなった。(1)活動期である21時に炎症性メディエーター発現が有意に増大した。(2)時計遺伝子ならびに炎症性メディエーターのmRNA発現の日内変動に位相のズレが認められた。(3)特に暗期におけるIkappaBalphaならびにRORalphaのmRNA発現量が有意に低値を示した。(4)REV-ERBalphaアゴニストSR9009の投与により、海馬における炎症性メディエーター発現量は有意に増大した。(5)SR9009の投与により、認知機能が有意に低下した。そこで今年度はSR9009がAPP-KIマウスにおいてのみ脳炎症を惹起し、認知機能を低下させるメカニズムについて解析した。その結果、SR9009とAbetaオリゴマーがミクログリアに相乗的に作用し、炎症性メディエーターの産生を誘導することが明らかとなった。以上の結果、時計遺伝子REV-ERBalphaの増大がミクログリアの炎症反応を促進し、ミクログリアの活性化反応を規制するゲート機構の実体と考えられる。さらに、REV-ERBalphaによるミクログリアにおける炎症反応は、Abetaオリゴマーにより促進されることが明らかとなった。
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