研究課題/領域番号 |
18K19655
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
上條 竜太郎 昭和大学, 歯学部, 教授 (70233939)
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研究分担者 |
山田 篤 昭和大学, 歯学部, 講師 (50407558)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 神経堤由来細胞 |
研究実績の概要 |
神経堤由来細胞のごく一部の細胞は、成長後も幹細胞としての性質を維持し多分化能をもつことから、再生医療の新しい細胞ソースとして期待される。再生医療へ応用可能なリソースを得るためには、純度の高い神経堤由来細胞を低侵襲的に効率よく採取し、目的の細胞に分化誘導することが肝要と考えられる。本研究では低侵襲的に効率よく採取できる資源として、成体に存在する神経堤由来細胞特異的な細胞表面抗原を明らかにし、希少な幹細胞採取法の確立を目指す。この細胞を用いて骨および軟骨誘導に挑戦した。 神経堤由来細胞の骨基質形成能を評価する目的で、FGF含有の幹細胞培地で増殖させたGFP陽性細胞をⅠ型コラーゲンゲルに懸濁した後に、アテロコラーゲンスポンジへ混入した移植材料を、頭頂骨に自然修復しない欠損を作成した骨欠損モデルマウスに移植すると、欠損部に骨様組織の形成が認められることを、経時的なCT撮影と組織形態学的解析から評価した。移植した神経堤由来細胞を追跡観察していくと、移植後3ヶ月経過した後において移植したGFP陽性細胞は再生した骨様組織内に潜伏することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経堤由来細胞を、FGF含有の幹細胞培地で移植するために十分量増殖させることが可能になった。増殖させた神経堤由来細胞をⅠ型コラーゲンゲルに懸濁した後に、アテロコラーゲンスポンジへ混入した移植材料を作製した。頭頂骨に自然修復しない欠損を作成した骨欠損モデルマウスに移植材料を移植すると、欠損部に骨様組織の形成を誘導することが明らかになった。神経堤由来細胞とアテロコラーゲンスポンジの組合わせによって、研究目的である、硬組織誘導が達成された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、前述した目的を達成するために、1)遺伝子改変マウス(P0-Cre/floxGFPマウス)の神経堤由来細胞を、コラーゲンを主体としたスキャホールドに包埋後に、欠損部へ移植する。2)その他の骨欠損モデル動物を用いて、神経堤由来細胞が持つ骨組織誘導・骨再生能について解析する。3)解析法として組織形態学的評価と高解像度μCTから評価する。4)より効率的に骨を誘導できる、スキャホールドの組成について検討する。5)それら種々の条件で誘導した再生骨に対して、ナノインデンテーション法とレーザーラマン分光法を用いて、神経堤由来細胞によって形成された再生骨の物理的特性について既存の骨と比較して質を評価することによって、純化した神経堤由来細胞による骨および軟骨誘導法を確立し、得られた結果を取りまとめ学会発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
神経堤由来細胞の骨組織誘導・骨再生能について、誘導された骨様組織に対して、組織免疫染色などの分子レベルの解析が遅れた。組織免疫染色に用いる抗体の経費を翌年度分として用いる計画である。
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