研究課題
神経堤由来細胞のごく一部の細胞は、成長後も幹細胞としての性質を維持し多分化能をもつことから、再生医療の新しい細胞ソースとして期待される。再生医療へ応用可能なリソースを得るためには、純度の高い神経堤由来細胞を低侵襲的に効率よく採取し、目的の細胞に分化誘導することが肝要と考えられる。本研究では低侵襲的に効率よく採取できる資源として、成体に存在する神経堤由来細胞を用いて骨誘導に挑戦した。神経堤由来細胞の骨基質形成能を評価する目的で、FGF含有の幹細胞培地で増殖させたGFP陽性細胞をⅠ型コラーゲンゲルに懸濁した後に、アテロコラーゲンスポンジへ混入した移植材料を、頭頂骨に自然修復しない欠損を作成した骨欠損モデルマウスに移植すると、欠損部に骨様組織の形成が認められることを、経時的なCT撮影と組織形態学的解析から評価した。移植した神経堤由来細胞を追跡観察していくと、移植後3ヶ月経過した後において移植した細胞は再生した骨様組織内に潜伏することが明らかになった。高解像度μCT解析の結果から、アテロコラーゲンスポンジ単独移植に比べ、神経堤由来細胞含有のアテロコラーゲンスポンジを移植すると、骨塩量と骨体積共に神経堤由来細胞含有の方で有意に増加した。再生骨に対してレーザーラマン分光法を用いて解析すると、神経堤由来細胞含有のアテロコラーゲンスポンジで誘導された再生骨は、アテロコラーゲンスポンジ単独移植に比べ、生体の骨組織に近い値を示した。これらの結果から、神経堤由来細胞による骨組織誘導法は、効果的な骨再生療法になり得ることが示唆された。
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