研究課題
本研究はニューロイムノロジーの視点から歯周病といった細菌感染症が脳システム発達に与える影響を解明し、細菌感染における脳神経系と免疫系の統合的理解を目的としており、研究計画に従って、以下のように研究を行いました。1)母体免疫活性化における胎児を取り巻く母体免疫環境の解析:細菌感染症を模して動物実験で汎用される大腸菌由来リポ多糖LPSを用います。妊娠マウス(胎生E12.5)にLPSを投与し、血清中IL-17aをvehicle投与マウスと比較解析しました。母体細菌感染で血清中IL-17aが上昇し、子宮にIL-17a産生細胞が増加していることを見出しました。2)LPSによる行動学的表現型の解析:仔マウスの行動実験解析を行いました。研究計画に従って購入した超音波検出・解析システム、ビデオ行動解析装置および驚愕反応試験を有効に活用し、仔マウスに対して超音波発声アッセイ、3チャンバー社会的相互作用試験、ビー玉埋めテストといった行動実験試験で脳神経系発達を解析しました。母体細菌感染により仔マウスは自閉症様行動を示すようになることが明らかになりました。3)病原性細菌によって誘発される胎児脳神経系発達の解析:胎児脳におけるIL-17レセプターのmRNA発現について、定量的PCRの手法を用いて解析したところ、母体細菌感染によって胎児脳におけるIL-17レセプターの発現が増加されることを見出しました。このように細菌感染症が脳システム発達に与える影響の解析を研究計画に従って順調に進めることができ、研究期間内に研究成果を英文誌に報告しました。
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Exp. Anim.
巻: 69 ページ: 250-260
org/10.1538/expanim.19-0156
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https://www.fdcnet.ac.jp/col/department_graduate_school/div_info/div_info_kinou#sec02