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2018 年度 実施状況報告書

小児血中鉛の低侵襲性微量測定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K19661
研究機関東北大学

研究代表者

仲井 邦彦  東北大学, 医学系研究科, 教授 (00291336)

研究分担者 龍田 希  東北大学, 医学系研究科, 講師 (40547709)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワード鉛 / 低侵襲的 / モニタリング
研究実績の概要

小児における低レベル鉛曝露に起因した知能低下や多動・注意欠如などの健康影響が指摘されている。食品安全委員会は「有害影響を及ぼさない血中鉛濃度」として胎児や小児で4μg/dLを提案しているが、国内に少数ながらこの安全値を超えるケースが観察されている。このため小児の鉛曝露に関するリスク解析が求められているが、鉛の曝露評価には末梢血が必要であり、小児の鉛の曝露レベルを評価するための低侵襲性の採血モニタリング法が必要である。そこで本研究では耳朶または指先のキャピラリー採血による鉛モニタリング法の確立を目指した。初年度は、第1に、調査で用いる資材の鉛汚染、特に耳朶採血で用いる資材の汚染度が大きな障害となることから、鉛のコンタミネーションのレベルが低い資材を探索し、耳朶用のランセット、プラスチック製キャピラリー管(ヘパリン塗布)、血液保管用のマイクロチューブなどの選定を終えた。第2に、人を対象とする予備調査を行うことから倫理面の体制を整え、第3に、実際に成人男女を対象とする予備検討を実施し、上腕の橈側皮静脈などの皮静脈からの採血と、耳朶からの採血を実施した。予備調査は、企業の健診機会を利用し、本人より自著の同意取得を得て実施した。第4に、予備調査の検体の分析を進めた。皮静脈採血の血液のヘマトクリットおよびヘモグロビン値は自動機械法により測定し、耳朶採血のヘマトクリットは遠心法によって測定を実施した。今後、ICP-MSでの鉛分析を実施する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

鉛汚染の少ない調査用資材の選定を終えるとともに、予備調査として、橈側皮静脈などの皮静脈採血と、耳朶採血の鉛濃度を比較する目的で、成人31名を対象にすでに採血を実施し、ICP-MSによる重金属分析を進めており、順調に進展している。

今後の研究の推進方策

低侵襲性の採血方法として、キャピラリー採血による血液での鉛モニタリング法の開発を進める。まず第1に、前年度に実施した予備調査にて、31名の成人より上腕部皮静脈と耳朶よりの採血を実施しており、血液検体に関して、高感度ICP-MSによる重金属分析を進め、検出感度が十分かの検証を実試料で行う。対象となる元素として、鉛に加え、有害性が問題提起されているカドミウム、水銀、マンガンの分析を進める。水銀曝露に際して防御因子として作用すると考えられるセレンについても、高感度ICP-MSで同時分析が可能であり、分析を実施する。第2に、上腕部皮静脈と耳朶採血の重金属濃度の関連性を解析する。耳朶採血では耳朶を圧迫して採血することから、ヘマトクリットが変動する可能性も懸念される。このため両者のヘマトクリットもしくはヘモグロビン値を調整変数とする重回帰分析についても解析を試みる。第3に、小児を対象とする調査を計画し、倫理委員会への研究計画提出を準備する。当初は既存の小児を対象とするコホート研究での実施を計画していたものの、実施時期が合わず独自の小児研究が可能かを検討する。なお、耳朶採血では、ランセットで出血させたのちに、キャピラリー管に血液を収集する方法と、ICP-MS分析の前処理で用いる小型tubeに直接血液を回収し、重量で血液量を計算する方法が可能と考えられる。使用する資材の種類が少なければ少ないほど鉛の外部汚染の程度は低くなると期待されることから、この両者の方法についても検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

本研究では、耳朶採血で高感度分析を行うことから、採血や検体処理で用いる資材の鉛のコンタミネーションを徹底的に排除し、コンタミネーショんを抑えることが第1のポイントであった。初年度の検討で、比較的容易にコンタミネーションの少ない資材を見いだすことができ、順調に調査準備が進んだ。さらに、31名の成人を対象として予備調査を実施することができたが、企業の健診機会などを活用させてもらうとともに、採血者(医師と看護師)の派遣も受けることができ、経費節約につながった。
今後の計画として、31名で皮静脈からの末梢血と耳朶採血を実施しており、その検体について鉛に加え、カドミウム、水銀、マンガンなどの分析に加え、ヘマトクリットおよびヘモグロビン値を測定し、共変量として加えて解析を検討する。

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公開日: 2019-12-27  

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