研究課題/領域番号 |
18K19664
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
涌水 理恵 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70510121)
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研究分担者 |
三木 明子 関西医科大学, 看護学部, 教授 (30315569)
福島 敬 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30323299)
前野 哲博 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40299227)
大戸 達之 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60344892)
齋藤 誠 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80535021)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 小児医療現場 / 家族 / 子ども / コンフリクト / 被害 / 実態調査 / 対応マニュアル / プログラムパッケージの開発 |
研究実績の概要 |
小児医療現場では、患者である小児家族から医療従事者・関係者へのクレ ームや暴力が問題になっている。現時点では、小児医療現場での医療コンフリクトから生じる暴力の実態について、客観的なデータによってあるいは全国規模の調査によって纏められている国内の報告はない。 海外の小児医療現場では、患児のみならず、家族からの暴力も相当数あり、特に待ち時間の長い小児救急で暴言が吐かれること多いこと、具体的には小児救急スタッフの75%が一週間に一度以上の暴言を受け、25%が一年に一度は傷を負う暴力を経験していたこと等が報告されている。小児科のレジデントに対する研究では3分の1が研修期間に暴言・暴力を経験し、71%が職場での暴言・暴力に対する対応を教わっておらず、74%が怒りを抱える患者や家族への対応をカリキュラムに含めるべきと感じていたと報告されている。 国内の小児医療現場でも、スタッフが困惑している状況があるため、国内の小児医療現場における暴力の現況について纏める必要がある。そこで科研1年目となる本年度は、小児医療現場における患者・家族からの暴言・暴力・ハラスメントの実態と組織の対策および個人またはチームでの対応の実態を、質問紙調査/Web調査の施行により量的・質的に把握した。 量的・質的に実態を把握する過程で、性別や職種を問わず全職員が活用可能な被害想定型のシミュレーションパッケージまた対処法の検討が急務であり、被害を経験した職員へのプライバシー保護に留意した相談・ケア体制の確立も必要とされることが考察された。現場における『組織としての対策』、『個人/チームとしての対応力』を強化するべく具体的な指針を幾つか打ち立てることが出来たので今後は当該指針をプログラムとしてパッケージ化し、プログラムの実践また評価をしていきたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数領域の小児医療現場の管理者・職員向けに全国での実態調査(質問紙調査/Web調査)を行い、結果概要をまとめるところまでが1年目の計画であったが、このまとめまで遂行し、現在、学術誌に論文を投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目以降は、実態調査と窓口相談事案の分析結果を統合して法学や医学・看護学の専門家の助言や患者家族団体のオブザーブを得て、暴言・暴力・ハラスメントへの『組織としての対策』また『個人/チームとしての対応力』を強化するためのマネジメント指針を策定し、小児医療現場で活用実践できるプログラムパッケージを開発し、臨床の場で働くスタッフ向けにプログラムを実践し、スタッフ個々への介入効果を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目は実態調査のみの遂行だった。ここから得られた知見を以て2年目のプログラム開発に至るDVDやマニュアルブック等のデバイス開発先行者あるいは各医院また各業種別スタッフへの聞き取り調査を行う予定であったが、時間がまわせなかった。よって、2年目にこれらの事項を遂行し、DVDやマニュアルブック等のデバイス開発を行ったうえで、関係各所へ周知・配布し、プログラム実践への移行とする。
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